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新たな"民泊"制度の鍵を握る"一定の要件"

2016年06月07日

経済調査部 主任研究員 市川 拓也

政府は新たな制度の下で“民泊”を認める方向で動いている。規制改革会議の第4次答申(※1)(以下、答申という)で、民泊に“一定の要件”を課す新たな制度が示されたところであり、「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」(以下、検討会という)においても、“一定の要件”を課すことで旅館業法によらない制度を認める方向で検討がなされている。後者では要件の範囲内で民泊を認め、これを超える場合は、従来通り、旅館業法の許可が必要という建付けがより鮮明になっている。

この“一定の要件”について、検討会でひとつの焦点となっているのが、年間の営業日数である。答申では「年間提供日数」の上限に関し、「半年未満(180日以下)の範囲内で適切な日数を設定」としているが、実際に明確に線引きすることは容易ではなかろう。民泊をホームステイの延長とイメージするには180日では多過ぎるかもしれない。そもそも、2日に1回近い頻度で入れ代わり立ち代わり知らない者が訪れることに対し、近隣住民が許容するのか疑問である。また、空き家、空き室活用のビジネスとみれば、この範囲最大の180日としても大きなハードルとなる。初めから半分に満たない稼働率を要請される事業というのはかなり非効率であり、優良な事業者が限られてしまう懸念もある。一律の日数制限を課すのはわかりやすい仕組みではあるが、実態として国民皆が納得し得るものなのか慎重な議論が必要であろう。

答申では、「住居専用地域でも民泊実施可能」としつつ、条例等で当該民泊を実施不可にできることが盛り込まれた。確かに、民泊実施の可否に住民の意思が反映されることは望ましいかもしれない。一方で、新制度導入後に地域に実施の判断を委ねるよりも、事前に民意を反映させた揺るぎない制度を築くことの方が重要との見方もできる。早急な対応が必要なのは理解できるが、“一定の要件”の内容も含め、見切り発車の制度とならないことを期待したい。

(※1)規制改革会議「規制改革に関する第4次答申~終わりなき挑戦~」(平成28年5月19日)

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経済調査部
主任研究員 市川 拓也