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非製造業による省力化・合理化投資に期待

2016年06月06日

岡本 佳佑

2016年1-3月期の民間設備投資(GDP統計、一次速報)は前期比▲1.4%と、3四半期ぶりのマイナス成長となった。2012年末の安倍政権誕生以来、日本の設備投資は円安などを追い風に過去最高水準まで拡大した企業収益に支えられてきた。しかし、グローバルな金融市場が混乱する中、円安の追い風がやんだ2016年1-3月期は、特に製造業において業績悪化懸念が強まり、設備投資の一部が先送りされた可能性がある。設備投資はこのまま停滞局面に突入してしまうのだろうか。

筆者は、先行きの設備投資について、円高基調が継続するようであれば製造業で慎重姿勢が強まる可能性があるものの、非製造業において設備投資が増加することで、全体の設備投資は緩やかに増加するとみている。理由としては、①特に非製造業において、人手不足などから省力化・合理化投資に対するニーズが強いとみられる点、②非製造業の業績は安定しており豊富なキャッシュを有している点、が挙げられる。

日銀短観の業種別雇用人員判断DIを見ると、安倍政権の誕生以来、非製造業において相対的に雇用の逼迫度合いが強まっていることが確認できる。円安などを背景とした訪日外国人客の増加により、宿泊・飲食サービス業や小売業で労働需要が急増したほか、旧第二の矢である「機動的な財政政策」による公共投資の増加によって、建設業でも人手不足感が強まった。加えて、高齢化の進展や女性の社会進出を背景とした介護施設、保育所の増設により、対個人サービスでも労働に対する需要が高まっている。

非製造業は小売や通信、電気・ガスなどのサービス業や建設業など、主に内需セクターによって構成される。そのため、外需の動向と為替変動の双方の影響を受ける輸出関連企業が主力の製造業と比較して、先行きも安定した業績を上げることが可能だろう。好業績の継続は、上述した省力化・合理化投資実施の前提条件とも言える。また、非製造業は、安倍政権誕生後の2013年1-3月期から2016年1-3月期までの間で、製造業を上回る累計137兆円余りの経常利益を上げてきた。この結果得られた豊富なキャッシュは、省力化・合理化投資の原資になると考えられる。

日本と言えば、「技術立国」「モノづくり大国」といったイメージを持っている読者が多いのではないだろうか。しかし、実際には、雇用者数や売上高、経常利益の規模など、いずれをとっても製造業より非製造業の方が大きい。非製造業における設備投資の積極化は、たとえ製造業の設備投資が鈍化しても、その穴を埋めて余りある結果をもたらす可能性があると考えている。

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