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世界経済の次のステージ?

2016年05月13日

大和総研 顧問 岡野 進

4月21・22日、中国西安で「日中経済知識交流会」が開かれた。故宮崎勇元大和総研理事長が日本側代表として中国国務院発展研究センターなどとの間で始めた交流会は今年で34回目となった。

筆者は、初日に世界経済の現状についてのプレゼンを行ったが、議論の中で感じたのは、中国側参加者に世界経済が歴史的な転換期にあるのではないかという問題意識であった。2008年のリーマン・ショック以降、世界経済が停滞から脱し切れていないという現状認識があり、その原因、背景として世界経済が長期的、歴史的に新しい段階に入りつつあるのではないかという見方が出された。つまり、短期的な景気循環の問題としてではなく、長期的な構造の変化として捉えるべきであり、その分析を行わなければならないという問題意識である。中国においてはリーマン・ショックの後の財政出動による回復ののちは「一帯一路」「新型都市化」といった政策が打ち出され、また現在は過剰設備の整理に取り組み、イノベーションの推進を掲げるなど中国経済の構造改革を進めなければならないというのが中国の専門家たちの共通の見方である。彼らは、日本経済をはじめ世界の多くの経済も同様に構造改革が必要とされているのではないか、その背景には世界経済が新段階に入っていくメガトレンドがあるのではないか、という問題提起を行っている。

先進国の中でも、世界経済は長期停滞の局面に入ったのか否かという点についての議論は盛んになってきそうだ。例えば、サマーズ・ハーバード大学名誉総長(元米国財務長官)は、Foreign Affairs誌の3/4月号に寄稿し、常態化した経済停滞を説明するこれまでのいくつかの有力な議論を紹介しながら、結論としては財政政策の必要性、とりわけ中国の積極性に期待するといった論説を行っている。

これに対して、停滞の克服のためにはイノベーションが必要であり、それによる投資機会の拡大が必要であるとの議論も多い。産業革命以来の経済の発展は、長期的にはイノベーションが原動力であり、イノベーションこそが経済停滞克服のカギだとする見方である。イノベーションを強調する中国の論者の多くもこの立場に近いのではないかと思われる。

一方で、現在の経済システムそのものが現代社会を支える基本的な仕組みとして限界にきているのではないかという議論もある。従来の仕組みの下で財政政策に依存して経済成長を短期的に実現できても持続性がない。また現在の経済構造のもとではイノベーションを加速できないのではないか、という問題意識である。

それぞれの議論に理はあり、現実的には試行錯誤しながら、財政を賢く使いながらイノベーションを推進し、同時に経済構造の改革を誘導していく政策を見出していくことだろう。そこから世界経済の次のステージの姿も見えてくるのではなかろうか。

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