1. トップ
  2. レポート・コラム
  3. コラム
  4. 過去と未来と現在が混在するアフリカ

過去と未来と現在が混在するアフリカ

2016年04月21日

引頭 麻実

先日西アフリカを訪問する機会を得た。アフリカというと読者の皆様は何を想像されるのだろうか。紛争やテロ、貧困などマイナスのイメージが多いのではないだろうか。かく言う私も訪問前はかなり緊張した。訪問した国はガーナとコートジボワールの2ケ国である。

ガーナの人々は非常に温和といわれている。確かに車窓から外を眺めると、人々の顔つきは穏やかで、日常的に犯罪が起こっているようには感じられない。滞在中、現地で活動しているJICAの青年海外協力隊の方々とお話をする機会があった。そのうち、医療関係の活動をされている女性隊員の方は、「派遣先は田舎だが、例えば自分の荷物を現地の方々が見ていて助けてくれるなど、非常に親切なところだ」と語っていた。日本での想像とは大きく異なる。ガーナの携帯電話の普及率(契約件数/人口)は100%を超える。一人で3~4台を保有する人もいるそうだ。スマートフォンを保有している人も多いなど、その側面からみれば先進的である。また、電化率(グリッドにアクセスできる人口の比率)も高い。JICAの調べによると2011年末で72%を超えているとのことだが、現地の方のコメントでは現時点ですでに80%を超えており、2020年には100%に達する見込みであるという。電化率だけでみれば、サブサハラの地域で最も高い南アフリカに次ぐ。しかしながら、現在の経済状況はやや厳しい。実質GDPの成長率は4~5%程度であるが、GDPに占める公的債務の比率が7割を超えており、IMFの支援下にある。またインフレ率は15%超、市中金利は35%前後であるなど、厳しいビジネス環境となっている。

コートジボワールはガーナとはまた大きく異なる。内戦が終結し、経済は2011年頃から徐々に復興してきた。アフリカ開発銀行の本店は、長らくコートジボワールの首都機能を担う都市アビジャンから他国へ避難していたが、2014年に戻ってきた。実質GDPの成長率は2ケタ成長が見込まれる一方、インフレ率は2%程度に留まるなど経済環境は比較的良好だ。コートジボワールの通貨はCFAフラン。CFAフランはコートジボワールが属する西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA)の8ケ国および中部アフリカ経済通貨共同体(CEMAC)の6ケ国の計14ケ国で使用されており、対ユーロで固定相場制度(1ユーロ=655.957CFAフラン)が採られている(※1)。アビジャンの街並みはとてもオシャレだ。ETCシステムを備えた高速道路が今年に入って開通した。高速道路は立体交差となっていて近代的だ。ただし、よく聞くとほとんどの建物は1980年代に建造されたもので、最近建てられたビルは大変少ない。また、内戦の際に壊れたビルなどは、そのままの状態で放置されているものもある。復興はまだ途上である。

昨年12月、アビジャンで大型ショッピングセンターが開店した。豊田通商グループが仏カルフールグループとの提携により実現したもので、両社提携成果の第一弾となる。今後アフリカ各国で数十店舗規模の展開が計画されている模様。拡大するアフリカの消費を狙っている。

アフリカ大陸は最後の成長フロンティアと目されている。現在人口は10億人程度といわれるが、2050年には20億人超まで増加するとの予測もある。しかし、先進国との貿易で最先端の財やサービスが入ってくる一方、資源以外の輸出競争力は不十分というのが実情だ。またアフリカ54ケ国の国家の事情はそれぞれ異なり、各国の事業に即した本格的な構造改革はまだこれからだ。

過去と未来と現在が混在するアフリカ。日本から見ればかなり遠い存在である。情報も少ないうえ、政情不安で多くの日本企業が撤退した歴史もある。アフリカに現在進出している日本企業および在留している日本人の数はまだ限られている。多くの日本企業にとってアジア戦略だけで手一杯という側面もあるだろう。しかし、世界経済にとっての成長フロンティアであることは間違いない。アフリカに関心を持つべき時が来ているのかもしれない。

(※1)ただし、UEMOAとCEMACでは、CFAフランを発行する中央銀行が異なるため、価値は同じだが、それぞれ別の通貨として流通している。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加