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経済成長への寄与が期待される環境ビジネスの今後の業況

2016年03月23日

伊藤 正晴

2015年11月30日から開催された国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において「パリ協定」が採択され、条約締結国は温暖化問題に対する自国の貢献を示した約束草案の実現に向けた取り組みが求められている。これを受け、2016年3月15日付の内閣官房・環境省・経済産業省「地球温暖化対策計画(案)」(計画案)が公表された。計画案では、「長期的な目標を見据えた戦略的取組」で「地球温暖化対策と経済成長を両立させながら」としており、地球温暖化対策への取り組みが経済成長に寄与することも求められている。高い技術力を持つとされる日本の環境ビジネス関連企業に対して、世界的な環境問題の解決に貢献するとともに、日本の経済成長に寄与することが期待されている。

そこで、2016年2月29日に公表された環境省「環境経済観測調査(環境短観)平成27年12月調査」より、日本の環境ビジネスの今後の業況を紹介する。環境短観は、産業全体における環境ビジネスに対する認識や取り組み状況などを把握するため、民間企業を対象として平成22年12月から実施しているアンケート調査で、毎年6月と12月時点での調査が行われている。

まず、平成27年12月時点での環境ビジネス全体の業況DI(※1)は21で、平成26年6月以降は同程度の水準を推移している。日本銀行「全国企業短期経済観測調査(日銀短観)」では、同時点の全産業の業況DIは9となっており、全産業に比べると環境ビジネスの業況は好調と考えられよう。また、半年先、10年先の業況DIも同程度の水準となっており、今後も業況は好調を維持する見通しとなっている。分野別では、「地球温暖化対策」が環境ビジネス全体を牽引する見通しである(下記図表)。

環境ビジネスの国内需給DIは-4で、供給超過と回答した企業の割合が需要超過と回答した企業の割合を上回っている。日銀短観の国内需給DIは-16であり、全産業に比べて環境ビジネスの国内需給DIの水準は高いがマイナスにとどまっていることが懸念される。今後についても、国内需給DIはマイナスが続く見通しとなっており、分野別では自然環境保全の10年先の国内需給DIのみがプラスとなっている。一方、環境ビジネスの海外需給DIは0で、日銀短観の海外需給DIの-12と比べると高い水準となっている。また、半年先は3、10年先は11であり、海外での需要が期待されている。

今後発展が見込まれる環境ビジネスについては、半年先では「省エネルギー自動車」を選択した企業の比率が28.6%で最も高く、次いで「再生可能エネルギー」が12.5%、「大気汚染防止用装置・施設」が11.8%となっている。また、10年先では「再生可能エネルギー」を選択した企業の比率が24.0%で最も高く、次いで「省エネルギー自動車」が17.7%、「大気汚染防止用装置・施設」が7.8%で、「再生可能エネルギー」と「省エネルギー自動車」を選択した企業の比率が高い。前述の計画案の概要では「計画に位置付ける主要な対策・施策」で「次世代自動車の普及、燃費改善」や「再生可能エネルギーの最大限の導入」が取り組みとして示されているなど、これらの分野に対する期待は高い。

環境短観によると、海外需給DIの増加が見込まれることなどから、全産業に比べて環境ビジネスの業況は好調が続く見通しである。今後、環境ビジネスが牽引役のひとつとして、経済成長に寄与することが期待される。

環境ビジネス実施企業による分野別業況DIの推移

(※1)「現在」、「半年先」、「10年先」の3つの時点を対象として、業況が「良い」、「さほど良くない」、「悪い」の3つの選択肢を提示し、業況DIは「良い」と回答した企業の比率と「悪い」と回答した企業の比率の差で算出されている。

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