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大都市不動産市場活性化への期待

2016年03月17日

大和総研 顧問 岡野 進

1月29日に決定された日本銀行の「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」に対して、金融市場は当初は消化不良的な反応を示したこともあったが、10年物国債利回りがマイナス圏に入ってくるなど、機関投資家にとってこれまでのポートフォリオを変えていかざるをえない環境に入ったことが鮮明になってきた。こうした環境では、安定したインカムが期待できる資産へのシフトが起きざるをえないだろう。賃貸料が安定的な優良不動産の需要が高まることが予想される。

日本不動産研究所の「不動産投資家調査」(2015年10月現在)によると、モデルとされている大手町、丸の内地区の取引利回りが3.5%のビルの場合に、10年物国債利回りに対するリスクプレミアムは3.0%となっている。10年物国債利回りがマイナス圏に入ってきているわけなので、このビルの例でみれば取引利回りが3%を切ることになっても不思議ではない。つまり賃貸料一定の仮定のもとに価格に換算すると、ビルの価格が17%程度上昇しても不思議ではないことになる。こうした変化が直ちに実現するわけではないだろうが、マイナス金利導入による長期金利の低下はこの程度のインパクトを不動産市場に与える可能性がある。

同調査による10年物国債利回りに対するリスクプレミアムの推移をみると、リーマン・ショック以降は3.0%となっているが、リーマン・ショック以前の2006年10月~2008年4月の時期には2.0%まで低下していたことがある。リスクプレミアムに影響する大きな要素としては空室率や賃貸料の変化の方向性を挙げることができる。例えば東京のビジネス地区についてみると、空室率は2012年から低下傾向になっており、賃貸料も2014年以降は上昇傾向に転じている(三鬼商事「オフィスデータ」参照)。そうしたファンダメンタルな環境好転は、投資家側のリスクプレミアムを低下させるのではないだろうか。

不動産は本来、個別性が強い。隣地にあるからといって同様の価格になるとはいえない。80年代のバブル期にはそうした事情が無視された投資が行われて、結局金融機関の不良債権の増大を招いたと思われる。これに対して、優良不動産に対するインカムを期待しての投資の活発化は都市の再開発も促し実物経済にも好影響を与えていくと期待される。

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