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金融機関は収益力拡大の源泉をどこに求めるのか

2016年02月29日

菅谷 幸一

国内銀行が資金運用難の状況にあり、国内収益への依存度の高い地域銀行をはじめ趨勢的な収益力の低下に直面する中、日銀当座預金に対してマイナス金利の適用が開始された。マイナス金利導入の波及効果により、民間部門の住宅・設備投資等に対する意欲が刺激され、資金需要が拡大するならば、実体経済の活性化や銀行業界の収益性向上につながることが期待される。しかし、民間部門の資金余剰の状況や現在の経済状況(特に地方・中小企業)・先行きの不透明感に鑑みると、少なくとも短期的には需要回復を期待することは難しい状況と言えよう。

本格的な需要の回復がなければ、日銀のマイナス金利付き量的・質的金融緩和が続く以上、当面の間は、金利の上昇を見込みづらくなる。そうなれば、銀行の収益確保には、収益性よりも量的拡大を優先した貸出の増加や、経費の削減といった対応が重視されやすくなるだろう。または、日銀の買いオペが続く間は、国債等の売却を通じた利益の計上が最も確実な方法になるかもしれない。ただし、持続可能性の観点から考えれば、また、本来の役割である金融仲介機能に顧みると、決して望ましいあり方ではないと言えるだろう。

地域金融機関間では、県境を越えた都市部への貸出攻勢や業種間の棲み分けの浸食といった厳しい競争が今後も続くと思われる。こうした状況は、金利(価格)競争を生みやすいと言え、経営規模や体力、効率性といった点で強みを持つ金融機関が優位に立っていくことが想定される。地域金融機関にとっては、金利競争は目先の収益確保やシェアの維持・拡大のためには避けられない面もあるだろう。しかし、中長期的な収益力拡大には、金融サービスの付加価値向上や収益源の多様化に取り組んでいくことが重要であろう。今後は、これらの取り組みを強化する手段として、ITの活用(FinTechの取り込み)や業務提携・経営統合などが効果を上げる可能性が考えられよう。

マイナス金利導入により、金融機関を取り巻く状況は一段と厳しさを増していくと思われるが、危機意識の高まりが新たなビジネスモデルの構築を促し、金融機関の競争力強化をもたらす可能性もあるだろう。FinTechを巡る動きなど、環境変化のスピードも速まっており、これまでの伝統的な慣行に捉われない柔軟な経営姿勢が必要かもしれない。金融機関においては、自社の強み・弱みを把握しつつ、収益力の拡大に向けてその源泉をどこに置くのか、再考しなくてはならないだろう。

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