日・米・ユーロ圏のそれぞれにとっての長期停滞論
2014年11月21日
下のグラフは、2008年以降の日本、米国、ユーロ圏の実質国内需要の推移を示している。米国の内需は順調に回復し、来年の半ばあたりの利上げが視野に入りつつある。日本はアベノミクスで景気回復が明確になったが、消費税増税で4-6月期の内需が大幅に減少、続く7-9月期もマイナス成長を脱することができなかった。事実上、景気は一時的にせよ後退局面に陥ったことになり、来年10月に予定されている消費税増税を延期するとした政府の判断は賢明な選択だ。本来は実質所得が安定的に増えてくるまで消費税率の再引き上げは待つべきだろう。
日米とも一線を画す形でひどく低迷しているのがユーロ圏の内需である。ユーロ圏を牽引するドイツを含めてもこの形状だから、スペインなど南欧諸国の状態は推して知るべし、である。ギリシャ、イタリア、スペインと続いた金融危機をECB(欧州中央銀行)の政策でしのいだが、緊縮財政を堅持しながら量的緩和の実施に躊躇し、結果的に経済の極端な低迷を招いている。
昨年から世界的な関心事となっている長期停滞論に、ユーロ圏が最もあてはまると言われている。他方、米国は景気が順調に回復しているように見えるが、雇用、設備投資などは期待通りに回復したとは言えず、潜在成長率が低下している可能性と合わせて米国でも長期停滞が懸念すべきテーマとなっている。
失われた10数年を経験した日本に今さら長期停滞論を持ち出すまでもないが、政策当局に求められるのはデフレへの後戻りを防ぐ政策の一貫性である。このところ日銀の量的緩和や円安への批判が絶えないが、財政再建が重要課題であるなら、なおさら金融緩和で円高、賃金減少、デフレという負の連鎖を完全に絶ち、長期停滞に再び陥ることを回避しなければならない。

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