ロンドンのレストランは、そんなに汚いの?

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2014年10月30日

  • 秋屋 知則

一体、どんなところで、外食しているの?とでも訳せばよいのだろうか。(機会があれば是非、ご覧いただきたいのだが)男性用トイレの小便器の中にラムチョップだろうか、料理が収まっていて“Where are you really eating out?”と随分、ショッキングなデザインとキャッチコピーがついているポスターを見つけたときは、少々驚いた。

これは英国のFSA(食品基準庁のこと、我々はどうも別の組織のことを思い出してしまう)が公衆衛生についてのキャンペーンのために作成したものの1つだ。実際に行ったことがない筆者が書くのは気が引けるが、英国と言えば、外国人にとっておよそ食事がおいしくない国と言われている。しかし、例えば、あるレストランが衛生的にきれいか、汚いかという話は、料理のおいしい、まずいとは全く次元が違うものだ。また、食品の安全性ということなら、今どきは食品に含まれる添加物やアレルギー物質の表示の徹底とか、或いは同国ならBSEについての取り組みというなら納得がいくが、どういうことなのか興味を持った。

ポスターのセンス同様に、すごいと感心したのが、公衆衛生に関する店の格付けの公表だ。住所や個別の店の名前を検索すれば、ウェブのマップ上で調査結果に基づいた6段階の格付けを簡単に見ることができるようになっている。さすがにVery goodの最高5点を取っているレストランなどが多いが、それでも大きく改善が必要であると1点に評価された店もなくはない。中には、最低のゼロ評価やかなり低評価を受けた現地で人気のあるお店の例もあるようだ。

最近は、ホテルや食事をするところについて、口コミを集めたウェブサイトが世界中にあるが、食品を扱う上で衛生管理は前提のことだから、およそ先進国なら衛生面の星の数で、どのお店がよいか調べたりしていないと思う。格別の注意をしなくても名の通っている繁盛店や老舗を選ぶのであれば、特に外国人旅行者にとっては、比較的リスクが低いのかもしれないが公的な監督機関によるこうした取り組みが土台を支えているのだと思う。

実は、FSAはこれに先駆けて、2012年のロンドン五輪・パラリンピックの前から“Play it Safe”というちょっと気の利いたコピーのキャンペーンを行っていた。その説明資料の中に、公衆衛生にことさら取り組むことについて言及がされている。来訪者や食事提供の激増に対する消費者保護という観点から、特に食品の取扱量も多くなる五輪等の期間中はいつも以上に法令順守等に重きを置くということのようだ。

五輪等の安全性というと、2020年の東京開催に向けて物理的なテロばかりではなく、サイバー攻撃などさまざまな観点で検討が始まっている。食事のことを考えると真夏の開催で日本では生ものを供することも少なくない。もちろん、食品を扱う方はその道のプロだから、十分に信頼できると思う。しかし、自分の経験でも旅先で慣れないものを食したときの不安は完全には払拭できない。こうした観点も合わせて、より安心・安全の確保を徹底し、海外からのお客様には日本の“おもてなし”を体験してもらうよい機会としたいものだ。

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