デトロイトの破綻
2014年04月03日
2013年7月、アメリカのデトロイト市が、180億ドルの負債を抱えて財政破綻した。デトロイトの破綻は、決して対岸の火事ではなく、日本の地方自治体の将来を暗示するものでもある。
デトロイト市は、ピーク時に180万人だった人口が70万人に減少し、人口流出により財政基盤が壊滅した。一方、我が国の場合も、デトロイト市ほど急激ではないものの、人口減少と高齢化が地方自治体の行政基盤を弱体化させていく。
国立社会保障・人口問題研究所が2013年3月に発表した「日本の地域別将来推計人口」によると、日本の総人口は、2010年1億2,805万人から30年後の2040年には1億727万人に16%減少するという推計になっている。とりわけ地方には厳しい予測となっており、秋田県、青森県は30年間で3割以上人口が減少し、最も人口が少ない鳥取県は44万人、島根県の人口は52万人に減少する。また、秋田県や青森県などでは、65歳以上人口割合が40%を超え、青森県では40市町村のうち11市町村で65歳以上人口割合が50%を超え、秋田県では25市町村のうち6市町村が50%を上回る。例えば、秋田県の場合、県の人口を10人家族とみなすと、子供1人、生産年齢人口5人、高齢者4人という家族構成になる。地方だけが特異なわけではなく、東京都の場合も、10人家族とみなすと、子供1人、生産年齢人口6人、高齢者3人という構成になる。
人口減少、高齢化により、地方では経済の疲弊と税収の減少が進み、行政の担い手も少なくなっていくなど、行政機構の維持も難しくなっていくだろう。
先進国は日本同様、人口減少、高齢化が進むが、国連の人口予測によれば、国を挙げてこの問題に取り組んでいるイギリス、フランス、スウェーデンなどでは、人口の増加と高齢化のスピードの減速が予想されている。少子高齢化は対応困難な課題ではなく、「未来は変えられる」という考えのもと、手遅れにならないうちに少子化、高齢化への対応、統治機構の見直しを行っていくべきだろう。
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