共に暮らすパートナー達へ一層の環境整備を
2014年03月10日
犬や猫などをはじめとするペットと共に暮らしている方は多いだろう。道を歩いていても朝早い時間から犬の散歩をしている方を見かけるのも日常の光景である。
日本ペットフード協会の推計によると、2013年に日本で飼育されている犬・猫は約2,062万頭で、そのうち犬は約1,087万頭、猫は約974万頭となっている(※1)。日本国内では約4世帯に1世帯の割合で犬か猫を飼っている計算になるが、犬・猫以外のペットも含めるとより多くの割合で何らかの動物が人間と生活を共にしていることになる。
ただし、犬・猫の飼育頭数はこのところ頭打ちとなっており、ペット産業も成熟してきている。それに伴い、最近では以前にはなかった様々なサービスが増えていると実感することも多い。ペットショップをのぞいてみると、年齢や健康状態に合わせた高級ペットフードは当たり前のこと、おもちゃ、衣類なども充実している。また、グルーミングや保険、ペットと泊まれるホテルは一般的になってきているし、葬儀に関するサービスもよく目にするようになった。屋内でペットを飼うことが一般的となったことを反映してか、家電メーカーからは留守宅でのペットの様子をチェックしたり、スマートフォンを使い外出先からでもエアコンの調節ができる製品なども販売されていて、ペットを飼う身としては使ってみたいサービス・製品も多い。
しかし、飼育環境については今後も発展の余地があるのではないだろうか。同調査では犬・猫を飼っている世代は50代以上が多い一方で、20代と30代では他の世代より低くなっている。これについては、若い世代では単身世帯が多く、仕事や結婚などライフスタイルの変化が大きくペットを飼う選択をしづらいことに加え、持ち家率が低く賃貸住居者が多いことも飼育したいという意向があっても飼えないことの一つの理由であるように思われる。最近ではペット飼育可能な賃貸物件やペット付きのシェアハウスなども増えているというニュースは目にするものの、実際に、オンラインでペット飼育可能な賃貸物件を検索してみても、その数はまだまだ少ない。
飼育環境が整っていないところで生活することはペットにとっても不幸であるし、近隣住民への配慮が必要な点から、むやみに賃貸物件でペット飼育を可能にすることは難しいだろうが、人間のパートナーとして共に暮らせる環境の整備やサービスがより充実していってほしいと思う。と同時に、やはり大切な命である。ペットの飼育にあたっては飼育放棄等により殺処分される命がなくなるよう、ペット産業に従事する人を含め、責任を持って命を預かる教育も必要だと感じる。
(※1)出所:一般社団法人日本ペットフード協会「平成25年 全国犬猫飼育実態調査」
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井出 和貴子
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