3Dプリンター工場見学雑感

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2014年02月12日

  • 土屋 貴裕

3Dプリンターの工場を見学する機会を得た。3Dプリンターとは、3次元のデータを基に、3次元の立体を形作る装置のことである。断面を少しずつ積み重ねる方法で、印刷すると言うよりも、「積層造形技術」の方が実態を表しているように思うが、ここでは「3Dプリンター」として呼称する。複雑な形状にも対応でき、その機能は「革命的」とされるものの、コストや時間との見合いから、用途は一つだけ、あるいは少量生産に向いているとされる。今のところ、人工関節などの医療関係、メーカーなどの試作品、完成模型などに利用されているようだ。

当該工場というか、オフィスの入り口には、F1マシンのモデルなどの少量生産で構わない実物の完成品が置いてあり、非常に興味深いと感じた。だが、出来上がるまでの時間を聞くと、かなりの時間がかかるようで、その時間が従来の方法と比べて長いのかどうかは判断できなかった。

使える素材は、樹脂や様々な金属などに広がり続け、3Dプリンターの普及に向けた課題としては、消費者向けでは、プリンターそのものの価格を下げることが重要で、500ドルを切るプリンターも登場するとのことだった。企業向けでは、試作品や少量生産の他では、新製品で需要が拡大することが確認できるまでの、つなぎ生産などに用いられるようだが、やはりプリント時間の短縮が必要だとのことである。

「革命」と言えば、1990年代後半以降に「IT革命」が喧伝されたものの、単にパソコンを導入するのではなく、業務の遂行にあたってのシステム全体を見直さなければ生産性が上がらないとされる。自分自身の日常を顧みても、パソコンなどの機能の一部を有効活用できている一方で、多くの機能はおそらく使いこなせていない。3Dプリンターもおそらく性能は向上し続けるだろうから、その新しい機能をどう活かすかがポイントなのだろう。3Dプリンターの現物を見てもなお、自分自身ではどう活用すればよいかわからない。模造品が増えてしまうのではないか、武器など作ってはならないものを作る善からぬ輩が現れるのではないか、という心配ばかりで建設的なアイデアは思いつかなかった。

オバマ大統領は、米国の全ての学校に1台ずつ3Dプリンターを配布する考えを持っている。柔軟な発想力を持つ子どもたちであれば、きっと有効な活用方法を思いついてくれるに違いないし、有効な活用方法を思いついたら起業するかもしれない。日本でも販売が始まり、どのような用途に使われるのか、どのように企業活動のプロセスに組み込まれるのか。「革命」と期待される結果は、技術だけではなく、その用途にかかっているのだろう。

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