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J-REITに続け!

2006年10月05日

経済調査部 経済調査部長 山崎 加津子

イギリスとドイツが「日本の成功に続け!」と盛り上がっている。なんの話かというとREIT(不動産投資信託)の導入である。J-REITは2001年に導入されたが、イギリスとドイツには現在はまだREITという投資商品はなく、共に2007年からの導入を計画している。

このうちイギリスは、2005年12月にブラウン財務相がREIT導入の意向を明らかにし、その後、公に意見を聴衆したのち、2006年4月に英REITの詳細を発表。2007年1月以降に開始される会計年度から適用されることが決まっている。この動きをにらんで、既にイギリスの不動産銘柄が物色されており、同セクターは1-9月で23%上昇を記録した。

ドイツも2007年年初からのREIT導入を目指し、9月26日に法案審議を開始した。REIT導入のメリットは、国内外からの資金流入で不動産市場が活性化する、個人投資家の不動産投資が容易になる、企業にとっては不動産資産の資金化手段となり、その資金をコア事業への投資に利用できる等である。ドイツで提案されたREITの要件は、(1)上場会社となること、(2)利益の75%以上が不動産投資からの利益であること、(3)利益の90%以上を配当金に回すことで、以上を満たせば法人税と営業税が免除される。個人投資家からみると、REITは不動産に直接投資するよりも、上場されているので流動性が高く、事業情報の開示もしっかりしている投資対象となる。また、法人税が免除された利益からの配当となるため、配当の二重課税の問題もない。

以上のようなメリットがあるREIT導入だが、反対意見も存在する。問題の1つは課税問題。投資家段階のみで課税されるREITは、投資家が非居住者である場合、課税が大幅軽減もしくは免除されることがある。これはその投資家の居住国とドイツとの間の租税条約の内容によるが、居住者と非居住者の間で不公平な取り扱いになる点と、ドイツの税収減となる点が問題視されている。もう1つの問題は、REIT導入により賃貸住宅の家賃が高騰するのではとの懸念であり、さまざまな賃貸者団体が導入反対を主張している。

とはいえ、これらの問題はREIT導入で期待されるメリットを上回るものではないと考えられる。問題解決に時間がかかれば、年内の法案成立が危ぶまれる。ただ、財務大臣は法律成立が2007年にずれ込んだ場合は、遡及して年初から発効とすることも可能との考えを示している。欧州で一番人口が多く、不動産市場としての潜在力が大きいと期待されているドイツのREIT導入は金融業界、産業界を巻き込んで盛り上がりを見せるであろう。

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山崎 加津子

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