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不良債権処理は経済に決定的なダメージを与えたか

2004年12月17日

金融機関の不良債権問題が、10年越しでやっと解決しつつある。いままで、大手銀行のトップによる度重なる「不良債権問題終結宣言」が毎回言葉だけで終わってきたが、とうとう本当に山を越えたといえる状態になってきた。地域金融機関についても、大手地方銀行を中心に不良債権比率が急速に低下し、メガバンク並みの水準になっているところも多くなってきている。

竹中大臣が金融担当になった当時、「不良債権を急激に処理すると、経済が致命的な打撃を受け、回復不可能なダメージを受ける」などの議論が盛んに展開された。実際、企業によっては致命的なダメージを受けたところもあるし、経済全体にも少なからぬ打撃があったのは事実であろう。

しかし、「経済全体が致命的なダメージを蒙る」という議論は、結果からすると、間違っていたと言わざるを得ないであろう。逆に、あのまま不良債権問題を先送りしていたら、もっと悪い状況に陥っていたことも想像される。振り返ってみると、不良債権問題が先送りとなってきた要因は、「経済全体に与えるダメージ」というより、「金融機関に与えるダメージ」が大きかったからという解釈が可能であろう。

また、「地域金融機関はメガバンクとは違う。地銀にメガバンク並みの不良債権処理を進めろというのは、地域経済のことをわかっていない証拠だ」という議論もあった。しかし、メガバンク並みの不良債権処理を行っている地銀の地元経済が決定的な打撃を受けたという事例は聞いたことがない。

不良債権問題は、本来、金融機関と一部の不振企業の問題であり、経済全体への悪影響を最小限にするためにも、スピーディーな処理がやはり肝心である。欧米の前例から学んだこの基本原則を、10年かかって日本は再確認したことになるのであろう。

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