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ブッシュ大統領、2期目に名を残せるか

2004年11月29日

成瀬 順也

米国の大統領は、政権1期目は再選を目指し、もう再選のない2期目は名を残すことを目標にすると言われている。ブッシュ大統領は後世に名を残すことが出来るだろうか。

残念ながら、当面は1期目の後始末に手一杯で、そのようなことを考える余裕は無さそうである。後始末の一つはイラク問題であるが、キーパーソンの次期国務長官にはライス大統領補佐官(国家安全保障担当)が就任する。ライス氏はブッシュ大統領の側近中の側近。つまり、ブッシュ大統領のほぼ直接采配となることを意味している。大統領選直後にイラクでの軍事作戦を拡大したが、今後も強硬路線を続けることとなろう。

もう一つの後始末は双子の赤字。こちらのキーパーソンには、スノー財務長官の続投が濃厚である。引き続き、景気刺激的な財政政策が採られよう。1月20日の2期目スタートと同時に示される策は、減税継続→景気拡大→税収増→財政赤字削減という「画に描いた餅」になりかねない。しかも、スノー長官は「対テロ戦争の支出削減は必要ない」とも述べている。財政赤字は減らない可能性が高く、結果として、経常赤字の削減も難しいであろう。

後世に名を残せるかどうかはともかく、2期目に新たなテーマとして掲げられるのは「オーナーシップ社会」の実現であろう。オーナーシップ社会は、大統領選を通じてブッシュ陣営が主張した経済政策を貫くキーワードであり、前回2000年の「思いやりのある保守主義」の延長線上にある。一言で言えば、国民自らの役割・責任が大きい社会のこと。税金を納めて国からサービスを受けるのではなく、各自が貯蓄・運用し、その資金で民間からサービスを購入する社会を想定している。具体的には、住宅・株の保有や起業、さらには民間の医療保険・年金への国民自らの加入などを促進しようとするものである。

そのために、保険・年金制度の改革とともに検討されているのが税制大改革である。所得減税の恒久化に加え、フラットな所得税率(高所得者層の税率引き下げ)と間接税比率の引き上げ(連邦売上税の導入など)によって、競争という意味で公平な税制を目指している。オーナーシップ社会は、アメリカンドリームを追い求めやすい社会と言った方がわかりやすいかもしれない。ブッシュ政権2期目は、良くも悪くも、より「アメリカ的」な社会を目指そうとしているように見える。

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