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北海道の度量

2004年10月01日

原田 泰

地方経済は良くないと言われて久しいが、北海道もそうであるようだ。北海道に行く機会があったのだが、そこでも北海道経済の低迷振りについて聞かされた。しかし、日本経済はヨーロッパの大国の2~3倍の規模があり、日本を道州程度に分割しても、ヨーロッパの小国よりも経済規模の大きい地域がいくらでもある。なぜ、地方は経済的に自立するのが難しいと主張するのだろうか。

北海道には北欧やカナダのような魅力がある。北海道には素晴らしいものが、少なくとも3つある。第1には雄大な自然だ。第2には都市のインフラだ。石川啄木は札幌に来て、「道広き街」と言っている。北海道ほどしっかりとした街の骨格をもった地域は日本にはほかにない。第3には人だ。札幌の大通り公園には、初代北海道開拓使長官である黒田清隆とそのアドバイザーであるホーレス・カプランの銅像が並んで立っている。開発途上国で、初代大統領とそのアドバイザーを同様に扱って銅像を建てる国はないだろう。これは北海道の人々の度量と自信を表している。世界に知識を求め、それを利用することは恥ではなくて誇りなのだ。明治の日本は、このような精神をもって世界に知識を求めていた。それはすべての分野に及んでいた。日本陸軍は、日露戦争前においてもドイツの軍人メッケル大佐の訓練を受け、世界の武器から学んでロシアに劣らない武器を持つことに苦心した。だが、このような精神は失われ、昭和の日本陸軍は日本国民を戦争に引きずり込んだ上に崩壊した。

北海道の精神は札幌大通り公園に形になって現れている。新しい人を呼び、新しい資本を呼び、新しいことを始める気概と、新しい人の助力を得ることを誇りとする精神があれば、北海道経済が復活しないはずはない。北海道の精神は、新しい資本も新しい人材が来るのもいやだというプロ野球の経営陣や昭和の陸軍とは対極にある。ここに北海道経済復活の鍵があるだろう。

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