企業の成長ステージに応じたコンサルティングを
2003年11月19日
今年、大和総研が日本商工会議所と協力して行った「外部人材の自社経営への活用に関するニーズ調査」では、40%以上の中小・ベンチャー企業が「販売・マーケティング分野」を経営課題としてあげている。重要なのは中小・ベンチャー企業は大手・中堅企業とは異なるコンサルティング・ニーズを持っていることである。例えるならば大手・中堅企業がコンサルタントに魚釣りの指導を求めるが、中小・ベンチャー企業は、コンサルタントに魚そのものを求める。「販売・マーケティング分野」では、魚釣りの指導としての取引先開拓方法の指導ではなく、取引先そのもの、つまりビジネスマッチングを要望する。
金融庁の事務指針改正により、銀行が取引先を紹介して手数料を取ること、つまりビジネスマッチングが付随業務の1つとして、有料で行えるようになった。今後、どこまで実績ができるかが注目される。
ビジネスマッチングの成功にはコンサルティング能力、ネットワーク能力、コーディネート能力の3つが必要である。経営資源や事業環境を分析して課題を具体化する力、適切な取引先候補をみつけ出す力、取引関係を築くために交渉および調整を行う力が求められる。
またビジネスマッチングを望んでいた中小・ベンチャー企業も中堅企業へと成長することでニーズが変わってくる。中堅企業に成長すると、取引先の方から近づいてくるようにもなる。そして魚釣りの指導、つまり自社で良い取引先を選別する方法、良好な関係をつくる方法を身につける事にニーズが変わってくる。コンサルタントとして、この異なるニーズの両方に適切に対応することは容易なことではない。従って経営者には自社の成長ステージを判断した上で、適切なコンサルタントを選ぶこと、コンサルタントに対する目利きが求められる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
2021年01月26日
銀行等の業務範囲・5%ルールなどの見直し
銀行制度等WG報告
-
2021年01月25日
2021年のASEAN5経済見通し
景気回復は年後半に加速。懸念が多いタイとフィリピン。
-
2021年01月25日
税金読本(16-2)税務署への財産債務の申告と国外転出時みなし譲渡益課税
-
2021年01月22日
金融商品の評価
金融商品の価値はどのように算定するのか?
-
2021年01月26日
コロナ禍における地球環境問題
~ CO₂削減に向けたムーブメント ~
よく読まれているコラム
-
2020年10月19日
コロナの影響、企業はいつまで続くとみているのか
-
2015年03月02日
宝くじは「連番」と「バラ」どっちがお得?
考えれば考えるほど買いたくなる不思議
-
2020年10月29日
コロナ禍で関心が高まるベーシックインカム、導入の是非と可否
-
2006年12月14日
『さおだけ屋は、なぜ潰れないのか』で解決するものは?
-
2017年07月25日
ほとんどの年金生活者は配当・分配金の税率を5%にできる
所得税は総合課税・住民税は申告不要という課税方式