ニューヨークでベビーカーを押して感じたこと

2015年10月28日

  • ニューヨークリサーチセンター エコノミスト 橋本 政彦

ニューヨークの街を歩くと、日本ではあまり見かけない大型のベビーカーが人気のようである。さすがアメリカ人は大きいものが好きなんだ程度にしか思っていなかったのだが、現地の知人に話を聞いたところ、大きいベビーカーを選ぶのにはちゃんとした理由があるのだという。

最大の理由として挙げていたのは、路面の悪さである。たしかに、実際にベビーカーを押して歩くと、段差が多いことに加えて、歩道の真ん中に大きなくぼみがあることなども珍しくない。大きなタイヤを履いたベビーカーであれば、悪路でも押しやすく、乗っている子どもも比較的快適だそうだ。一方でデメリットもある。ニューヨークにおける最もメジャーな移動手段である地下鉄の駅は、エレベーターが設置されていないところが多く、ベビーカーを担いで階段を上り下りしなければいけないこともしばしばである。知人も一人で出かける際は、階段の上り下りができないため、遠くてもエレベーターが設置してある駅まで歩いているとのことであった。

たしかに道が悪くて押しづらいことに不便は感じるが、階段の上り下りの大変さや、収納時の邪魔さを考えると、大きく、かつ高額なベビーカーの購入には二の足を踏んでしまうというのが筆者の正直な感想である。しかし、こうしたデメリットがあっても、子どもの快適さと押しやすさを優先して、大型のベビーカーを購入する人がアメリカでは少なくないというのである。日本では、むしろ折り畳みやすさや、軽量であることをウリにしているベビーカーが多かったため、日本人とアメリカ人では考え方が大きく違っていることを痛感した。

大型のものが人気であるという部分に関しては、自動車についても共通している。車種別の販売台数を見ると、日本ではハイブリッド車などの低燃費車が人気を博している一方で、アメリカの上位にはピックアップトラックやSUVの大型車が名を連ねている。2014年半ばから原油価格が急速に下落して以降、アメリカではとりわけ大型車の販売が好調であるが、ガソリンが安ければ大型車を購入する人が増えるのである。自動車を運転してみても、道路の悪さは日本とは比べ物にならず、インフラの悪さが悪路でも走行しやすい大型車の人気の一因になっているとみられる。

道路だけに留まらず、鉄道や通信などインフラの質が日本に比べて低いというのは、筆者がアメリカに来て最も驚いたことの一つであった。こうしたインフラの質の低さは、アメリカ人の消費行動にも少なからず影響を与えているようである。

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