"日本株式会社"の株主構成はどう変わるのか

2015年6月29日

2015年6月18日に東京証券取引所・名古屋証券取引所・福岡証券取引所・札幌証券取引所から「2014年度株式分布状況調査の調査結果について」が公表された。投資部門別株式保有比率(金額ベース)を見ると、外国法人等(以下、海外投資家)が前年度比プラス0.9%ptの31.7%と過去最高を更新する一方で、個人・その他(以下、個人投資家)は前年度比マイナス1.4%ptの17.3%で過去最低となった(図表1)。この他、金融機関は前年度比0.7%ptプラスの27.4%、事業法人等は前年度と同じ21.3%となった。なお、事業法人等の保有比率には自己株式(金庫株)が含まれており、3.4%は金庫株保有によるものである。日本の株式市場全体を1つの会社とみなせば、海外投資家が一番の大株主で、次いで金融機関、事業法人等、個人投資家ということになる。

事業法人や金融機関(うち銀行)の保有比率は今後低下するかもしれない。2015年6月1日から実施されたコーポレートガバナンス・コードは、上場会社の経営陣に対して政策保有株式の経済合理性や将来の見通しを検証することを求めており、今後上場会社による政策保有株式の精査が進むことが予想される。2015年6月20日付の日本経済新聞朝刊によれば、既に新日鐵住金や三菱地所、コマツ等、いくつかの上場企業が政策保有株式の削減方針を打ち出しているという。

また、2015年6月22日の産業競争力会議で公表された「『日本再興戦略』改訂2015」の素案には“金融機関のガバナンスや経営体力強化に向け、(中略)政策保有株式の縮小等の動きを引き続き注視する”という内容が明記された(ここでいう金融機関とは実質的には銀行である)。銀行の株式保有に対して厳しい視線が向けられており、今後削減が進む可能性がある。

事業会社や銀行が政策保有株式の削減を進めた場合、その受け皿が気になるところだ。参考までに諸外国の株式の投資部門別保有比率を確認したところ、イギリスやドイツの上場株式は海外投資家の保有比率が5割を超え、最大となっている(図表2)。アメリカは非上場株式も含んだ数値になるが、金融機関の保有比率が5割弱、次いで家計・対家計民間非営利団体が4割弱となっている。

日本は国内の家計金融資産が潤沢であることから、個人投資家が直接、もしくは金融機関(機関投資家)を通じて間接的に受け皿になる(保有比率を増やす)ことが自然であるように思われる。しかし、グローバル展開を積極的に行っている企業は、より多くの海外投資家に株主になってもらいたいと考えているかもしれない。企業がどのような投資家に株主になってもらいたいか考え、それをIR活動や資金調達方法に反映させることが最終的な株主構成に大きく影響する。企業のIR戦略・財務戦略が従来以上に問われることになりそうだ。

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