教職課程などにおける金融・経済関連分野の学習機会

教員の知識レベルの差異が大きい可能性を考慮した教材・講座提供を

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サマリー

◆円滑な金融経済教育の推進にあたっては、現職教員の意欲や知識量が重要な要素となる。この点を把握するためにはまず、現職教員にはどの程度金融・経済関連分野の学習機会が存在したのか、などを理解する必要があるだろう。このレポートでは、大学在学中に社会科(公民科)や家庭科の教員免許状を取得する例を想定し、教職課程においてどの程度の金融・経済関連の単位の修得が求められているのか、などを調査した。

◆社会科(公民科)の教員免許状の取得にあたっては、制度上「経済学」の単位修得は必須とならないパターンが存在する一方、経済・金融分野に関連が深いと考えられる学部・学科にて関連分野を専攻しつつ教員免許状を取得する学生なども存在するため、教員によって知識量のばらつきが大きい可能性がある。家庭科については「家庭経済学」を含む科目の単位修得が必須となっている一方、金融・経済関連分野を専攻した教員は少ない可能性がある。

◆現行の制度上、教員の金融経済教育に対する知識や興味・関心の度合いには大きなばらつきが生まれ得る。また多忙を極める教員が、金融・経済関連の知識を主体的にアップデートできる可能性は低い。これらの点を考慮すると、各金融機関などが教員に対して金融経済教育を提供する際は、幅広いレベル感のコンテンツや、実際の授業で直接活用可能な資料を準備する必要があるといえる。

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