2023年10月18日
サマリー
◆円滑な金融経済教育の推進にあたっては、現職教員の意欲や知識量が重要な要素となる。この点を把握するためにはまず、現職教員にはどの程度金融・経済関連分野の学習機会が存在したのか、などを理解する必要があるだろう。このレポートでは、大学在学中に社会科(公民科)や家庭科の教員免許状を取得する例を想定し、教職課程においてどの程度の金融・経済関連の単位の修得が求められているのか、などを調査した。
◆社会科(公民科)の教員免許状の取得にあたっては、制度上「経済学」の単位修得は必須とならないパターンが存在する一方、経済・金融分野に関連が深いと考えられる学部・学科にて関連分野を専攻しつつ教員免許状を取得する学生なども存在するため、教員によって知識量のばらつきが大きい可能性がある。家庭科については「家庭経済学」を含む科目の単位修得が必須となっている一方、金融・経済関連分野を専攻した教員は少ない可能性がある。
◆現行の制度上、教員の金融経済教育に対する知識や興味・関心の度合いには大きなばらつきが生まれ得る。また多忙を極める教員が、金融・経済関連の知識を主体的にアップデートできる可能性は低い。これらの点を考慮すると、各金融機関などが教員に対して金融経済教育を提供する際は、幅広いレベル感のコンテンツや、実際の授業で直接活用可能な資料を準備する必要があるといえる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
金融経済教育に必要な視点
『大和総研調査季報』2025年春季号(Vol.58)掲載
2025年04月24日
-
ソーシャルメディア上の情報発信に関する金融経済教育の事例
「フィンフルエンサー」の発する情報との付き合い方をどう教育するか
2025年02月26日
-
米英の金融経済教育の取り組みから得られる示唆
いかに国民全員に教育を届けるかが金融リテラシー向上のカギ
2024年07月30日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日