サマリー
◆2025年10月21日に自由民主党(自民党)の高市早苗総裁が首相に選出され、日本維新の会との連立政権(自維連立政権)が誕生した。今後の経済政策の在り方を検討するため2020年代の日本経済を振り返ると、主要7カ国(G7)の中で輸出が最も増加した一方、個人消費が最も弱かった。物価高による実質可処分所得の伸び悩みや節約志向の強まりなどが背景にあり、物価高は低所得世帯だけでなく中所得世帯にも大きな影響を及ぼした。足元の物価上昇率の過半は、食料品を中心とした供給ショックに起因すると推計される。
◆1人あたり実質賃金・俸給(GDP統計上の実質賃金)は2014~24年で年率+0.1%と、米国(同+1.5%)やドイツ(同+0.9%)のそれを大幅に下回った。特に影響したのが労働生産性と労働時間で、生産性要因による押し上げ幅は米国の半分程度にとどまった。ソフトウェアや研究・開発など、無形固定資産を中心に日本の資本蓄積が米国に大きく劣っていたことが一因だ。労働時間による押し下げは日本で顕著で、働き方改革の効果が表れた点では評価される一方、追加就労を希望する者も一定数存在する。仮に追加就労希望が全て実現すれば、1人あたり労働時間は3.6%増加すると試算される。
◆高市・自維連立政権は物価高対策として、ガソリン税の暫定税率廃止や電気・ガス代の補助などを経済対策に盛り込む方針だ。だが、エネルギー高対策は高所得者や好業績企業にも恩恵が及ぶなど費用対効果が悪い。政策効果や必要性を検証し、日本がインフレ経済に移行したことも踏まえて適宜見直すべきだ。また、高市・自維連立政権は給付付き税額控除の制度設計を早急に進める方針である。日本は低所得層に対する再分配機能が弱く、これまで住民税非課税世帯を基準とする「原始的な低所得者対策」を繰り返してきた。給付付き税額控除による低所得者対策の強化・適性化が求められる。実質賃金上昇率や経済成長率の引き上げは、設備投資の拡大がカギを握るとみられ、「賃上げと設備投資の好循環」の実現などが重要だ。
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