地方銀行の再編効果

高度化する銀行業における経営統合の意味

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サマリー

◆地方銀行の合併・経営統合には、コスト削減と機能高度化という二つの主要な動機がある。コスト削減は重複機能の廃止や規模の経済性の発揮によって、機能高度化は比較優位な手法への統一や専門性の向上によって実現される。本稿では、これらの効果発現プロセスを組織(機能)別・再編形態別に整理し、定量的・定性的に考察した。

◆コスト削減効果については、合併を経験した銀行で職員数の減少幅が大きい傾向がみられるものの、業態差や外部要因の影響も大きく、それを単純に合併効果とみなすことはできない。また、効率性指標の水準や変化には地域経済や金融構造の多様性が影響しており、再編による効果の定量評価には慎重な検討が必要だ。

◆一方、金融商品・サービスや内部管理の高度化が進む中、地域金融機関に求められる専門性の向上も再編の重要な動機となる。経営統合は、合併効果を機能別に分解し、選択的に共同化する再編形態として位置づけられる。近年の銀行業高度化の流れの中では、コスト削減よりむしろ機能高度化が地域金融機関の再編における主要な課題となる。

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