サマリー
◆2026年度の「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太方針2026)の原案によると、高市政権は「責任ある積極財政」に基づく「中長期経済財政計画」(2027~40年度)を策定する。「国・地方の総債務残高対GDP比の安定的低下」を財政運営目標の中核に位置付け、国・地方の基礎的財政収支(PB)は「債務残高対GDP比の低下に向けて確認する指標」に見直す。景気変動や危機管理投資・成長投資の必要性に応じてPBの一時的悪化も許容し得るとした。
◆内閣府「日本成長戦略の下での中長期的な経済・財政の姿に関する試算」(内閣府試算)(2026年6月24日)では、公債等残高対GDP比が低下を続けるのは3つのシナリオのうち、「成長戦略実現ケース①」のみだ。同シナリオは毎年度実質10兆円の追加財政支出の下、設備投資の大幅な拡大や米国を上回る生産性向上ペースなどを想定しており、PBはおおむね黒字で推移する。だが、その実現には経済財政構造の大幅な転換や、別枠管理する施策の財源確保などが必要である。2029年度の本格導入が予定されている所得連動給付の恒久財源の確保なども課題だ。
◆3つのシナリオはいずれも、2030年代初めから半ばにかけて債務の実効金利が名目GDP成長率を上回るようになり(「ドーマー条件」が成立しなくなり)、公債等残高対GDP比の押し上げ要因になる見通しだ。PBが赤字でも債務残高対GDP比が低下する「財政ボーナス期」が続く2020年代のうちに、PBの基調を均衡あるいは黒字化させ、2030年代に備える必要がある。「成長ありき」ではなく、様々な状況を見据えて柔軟に対応し、債務残高対GDP比が安定的に低下するように財政運営を行うべきだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
消費データブック(2026/11/5号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2026年11月05日
-
2026年7-9月期GDP(1次速報)予測 ~前期比年率+1.5%を予想~
個人消費は小幅減だった一方、設備投資と輸出が実質GDPを押し上げ
2026年10月30日
-
2026年9月鉱工業生産
自動車工業が挽回生産で持ち直し、生産全体は3カ月ぶりに上昇
2026年10月30日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本の長期金利、2035年に5%台の可能性
2035年に3.5~4.2%程度で、海外保有拡大で1%pt超の上乗せも
2026年10月16日
-
増える高齢富裕層とその地域分布
高齢富裕層はどこにいるのか、その資産は今後どこへ向かうのか
2026年10月01日
-
金利上昇と「資本コストや株価を意識した経営」
金利上昇による資本コスト上昇は限定的だが引き続き要注視
2026年10月13日
-
預貸率における地域間格差
東京都への一極集中と地域金融機関に期待される対応
2026年10月02日
-
飲食料品の消費減税による消費行動への影響
買い控え・反動増は限定的。外食支援策は実態を見極めた対応を
2026年10月19日
日本の長期金利、2035年に5%台の可能性
2035年に3.5~4.2%程度で、海外保有拡大で1%pt超の上乗せも
2026年10月16日
増える高齢富裕層とその地域分布
高齢富裕層はどこにいるのか、その資産は今後どこへ向かうのか
2026年10月01日
金利上昇と「資本コストや株価を意識した経営」
金利上昇による資本コスト上昇は限定的だが引き続き要注視
2026年10月13日
預貸率における地域間格差
東京都への一極集中と地域金融機関に期待される対応
2026年10月02日
飲食料品の消費減税による消費行動への影響
買い控え・反動増は限定的。外食支援策は実態を見極めた対応を
2026年10月19日

