2026年06月11日
サマリー
◆2026年6月の日本銀行(日銀)の金融政策決定会合では、長期国債買入れ減額計画の中間評価が行われる。2027年4月以降は減額を停止し、月2.1兆円程度の買入れを維持するとの観測がある。政策金利引き上げと併せて、金融引き締めの度合いを調整する狙いと考えられる。
◆QT(量的引き締め)開始後、日銀のバランスシートは2026年5月末時点で97兆円減少した。主因は国債残高の縮小(▲60兆円)と貸出支援資金の減少(▲31兆円)であり、ETF・J-REITの売却も始まっている。国債残高の見通しは、償還の影響が大きく、当面は減少が続く。減額停止の影響が顕在化するのは2029年以降で、長期的には残高減少ペースが鈍化し、2035年頃には一定水準で横ばいとなる見通しである。
◆年限別では中期ゾーンの保有比率が低下する一方、需給逼迫の残るゾーンも見られ、国債補完供給オペによる調整が続く見込みである。
◆貸出増加を支援するための貸出支援資金の供給終了に伴い、貸出残高は急減し、特に貸付額の多い地域金融機関への影響が懸念される。
◆ETF・J-REITの売却は開始されるも、時価ベースではむしろ増価していると思われる。いずれ売却ペースの調整が必要になるかもしれない。
◆日銀のバランスシート残高は依然として大きく、QTは道半ばだ。ただし、今後バランスシートの縮小が進行していけば、いずれ資金調達環境のタイト化を引き起こす可能性がある。資金需給の変化に注意しつつ、日本における潤沢な準備預金水準(Ample Reserve)を探る必要がある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
国債買入れと市場流動性の課題
イールドカーブ・コントロールと市場流動性のバランス
2023年01月20日
-
日本銀行がETF・J-REITの市場売却を決定
100年以上かけた超長期売却計画には備えが必要
2025年09月22日
同じカテゴリの最新レポート
-
「ベンチャーキャピタルにおいて推奨・期待される事項」(VCRHs)の見直し
ベンチャーキャピタルのガバナンス強化と投資魅力向上を図る
2026年07月13日
-
2025年度の個人向け社債市場の動向
発行額は過去最高に。今後は発行体の裾野が広がるかが注目点
2026年07月10日
-
円買い・ドル売り為替介入の限界
為替レートの安定には機動的な利上げが必要
2026年07月03日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
-
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
-
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
-
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日

