サマリー
主要先進国、およびアジアの多くの国は、等しく人口の高齢化を経験しつつある。高齢化は生産年齢人口の減少への対応、社会保障制度の見直しなど、様々な課題を各国に突きつけるが、その際、一つのカギとなるのが、高齢者の労働力率、ないしは就業率をいかに引き上げることができるかである。これによって、生産年齢人口の減少を可能な限り相殺することが可能となる。また、高年齢者が生み出す所得が内需下支えの源泉となれば、供給(労働力)、需要、双方から経済の縮小均衡を回避することにもつながろう。さらには、多くの高年齢者が就労を継続し、税、社会保険料を支払い続けることにより、国家財政の逼迫度の緩和にも寄与するはずである。こうした筋書きはすべての高齢化進行国に当てはまるはずであるが、その対処の具体策は各国の制度や慣行にも依存し、それぞれのバリエーションが存在する。
本レポートは、こうした問題意識に立ち、欧米アジアの10か国・地域の高齢者雇用の実態、および関連政策にかかわるファクトを整理し、その日本へのインプリケーションを探ったものである。
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