サマリー
◆スウェーデンでは、就労優先原則の浸透により国民の就労意識が高く、以前から就業率は高いが、特に2000年以降は55-64歳の就業率が上昇している。中高年の労働についての特徴として、年金の満額支給となる65歳以上ではフルタイムの常用雇用契約からパートタイムの有期雇用契約へとシフトする割合が高く、その理由としてはワークライフバランスの維持が考えられる。また、自営業者は年金支給年齢後も労働を続ける傾向が強く、特に従業員のいる経営者や専門的な知識を持って働く人については高齢でも仕事を継続していることが多い。
◆女性の労働者については、出産・育児支援の充実などにより女性の社会参加が進んでおり、就業率が他の国と比べても高いことがスウェーデンの大きな特徴として挙げられる。ただし、女性の就業者比率の高い教育や福祉サービス業などが、相対的に賃金水準の低い業種であることから、男女間での賃金格差が存在している。
◆年金制度においても受給開始年齢や受給額を自ら決めることができ、受給後も就労することにより年金の増額が可能なため、高齢者にとっては働き続けるインセンティブが高い制度となっている。雇用側にとっても、年功制賃金でないことや、中高年を雇用することによる社会保障費の負担軽減等の補助により、中高年を雇用するメリットが存在している。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
高年齢者雇用レポート⑪台湾:持続不可能な伝統的価値観と中高年就業問題
2015年07月16日
-
高年齢者雇用レポート⑩韓国:高齢者の高い労働参加率と貧困問題
賃金ピーク制が徐々に状況を改善か?
2015年07月16日
-
高年齢者雇用レポート⑨米国:労働市場で存在感を増す高齢者
高齢者労働を促す各種政策も注目
2015年07月16日
-
高年齢者雇用レポート⑧イタリア:消えゆく年金天国
制度改革が国民の就労意識の変化をもたらすか
2015年07月15日
-
高年齢者雇用レポート⑦フランス:根強い早期引退文化
高齢者の就業促進政策へ舵を切るが、道半ば
2015年07月15日
-
高年齢者雇用レポート⑥英国:長期就業文化の定着
就業継続を希望する高齢者とそれを支援する政府の意向が一致
2015年07月15日
-
高年齢者雇用レポート⑤ドイツ:55歳以上の就業率が顕著に上昇
労働力確保が大きな政治課題
2015年07月14日
-
高年齢者雇用レポート④スイス:改めて注目される中高年雇用
2014年2月の国民投票で移民流入数への上限設置を採択
2015年07月14日
-
高年齢者雇用グローバルレポート
収斂する各国の政策 ~より長く働くために~
2015年07月17日
-
高年齢者雇用レポート⑫シンガポール:高齢者の就労ますます重要に
自立を促す政策と問題点
2015年07月16日
同じカテゴリの最新レポート
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
2025年12月日銀短観予想
輸出不振や原材料高で製造業の業況判断DI(最近)は悪化を見込む
2025年12月10日
-
2025年7-9月期GDP(2次速報)
設備投資などが減少し、実質GDPは前期比年率▲2.3%に下方修正
2025年12月08日
最新のレポート・コラム
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
FOMC 3会合連続で0.25%の利下げを決定
2026年は合計0.25%ptの利下げ予想も、不確定要素は多い
2025年12月11日
-
大和のクリプトナビ No.5 2025年10月以降のビットコイン急落の背景
ピークから最大35%下落。相場を支えた主体の買い鈍化等が背景か
2025年12月10日
-
開示府令の改正案が公表(2026年から一部適用)
有価証券報告書のサステナビリティ情報、人的資本、総会前開示に関する改正案
2025年12月10日
-
日中関係悪化、中国は自国経済・社会の不安定化回避を優先か
2025年12月10日
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

