高年齢者雇用レポート③スウェーデン:「より長い労働人生」の実現へ

高い国民の就労意識と制度が促す高齢者雇用

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2015年07月14日

サマリー

◆スウェーデンでは、就労優先原則の浸透により国民の就労意識が高く、以前から就業率は高いが、特に2000年以降は55-64歳の就業率が上昇している。中高年の労働についての特徴として、年金の満額支給となる65歳以上ではフルタイムの常用雇用契約からパートタイムの有期雇用契約へとシフトする割合が高く、その理由としてはワークライフバランスの維持が考えられる。また、自営業者は年金支給年齢後も労働を続ける傾向が強く、特に従業員のいる経営者や専門的な知識を持って働く人については高齢でも仕事を継続していることが多い。


◆女性の労働者については、出産・育児支援の充実などにより女性の社会参加が進んでおり、就業率が他の国と比べても高いことがスウェーデンの大きな特徴として挙げられる。ただし、女性の就業者比率の高い教育や福祉サービス業などが、相対的に賃金水準の低い業種であることから、男女間での賃金格差が存在している。


◆年金制度においても受給開始年齢や受給額を自ら決めることができ、受給後も就労することにより年金の増額が可能なため、高齢者にとっては働き続けるインセンティブが高い制度となっている。雇用側にとっても、年功制賃金でないことや、中高年を雇用することによる社会保障費の負担軽減等の補助により、中高年を雇用するメリットが存在している。

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