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高年齢者雇用レポート⑪台湾:持続不可能な伝統的価値観と中高年就業問題

2015年07月16日

経済調査部 主席研究員 齋藤 尚登

サマリー

◆日本、韓国、台湾の男女別年齢別労働参加率を比較すると、台湾は男女ともに50歳以降の労働参加率が大きく低下するという特徴がある。これには、早期退職を選択できる年金制度や、老後の生活に対する台湾(中華圏)独特の伝統的価値観により、中高年が労働市場からの早期退出を選択していることが大きく影響している可能性が高い。老後に対する台湾の伝統的価値観では、子どもが老いた親を扶養するのが当たり前で、親にも老後は子どもが面倒を見てくれるとの期待は高い。しかし、少子高齢化の急速な進展は、こうした伝統的価値観が、遠くない将来に持続不可能となることを示している。


◆台湾でも、今後、少子化対策、労働力としての女性・中高年の活用、さらには年金など社会保障の問題が極めて重要になることは、明白である。既に、台湾では「拠出額増加、給付額減少、受給年齢引き上げ」を柱とする年金制度改革が実行されようとしている。年金受給基本年齢は、現在の60歳から2018年に61歳となり、以降、2年毎に1年引き上げられ、2026年には65歳に引き上げられることになっている。


◆今後、中高年の労働参加率を引き上げることが極めて重要な課題となる。具体策としては、①中高年人材データベースの構築と迅速な就職(再就職)情報サービスの提供、②パートタイム等による雇用促進、③中高年向け研修・トレーニングの拡充、などがある。


◆台湾の中高年の就業問題では、高齢になっても働くのは「不幸」であるとの社会通念の打破が最も難しいのかもしれない。しかし、少子高齢化の急速な進展は、中高年の就業維持を不可欠なものとし、産業構造の高度化や人々の高学歴化は、それを可能とする条件を提供しようとしている。年金制度改革では、早期退職による年金減額と受給年齢引き上げによる年金増額というメリハリが付けられる。今後、中長期的に台湾の50歳以降の労働参加率がどのように変化していくのか、注視したい。

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