サマリー
◆金融庁は、2012年9月7日に2013年度税制改正要望項目(以下、要望)を公表した。本稿では、要望のうち金融証券税制の抜本的見直しとして注目されている「日本版ISAの恒久化等」、「金融所得課税の一体化」及び「教育投資のための世代間資産移転促進に関する非課税措置の創設」について概説する(他の要望項目については、後日公表するレポートにて概説する)。
◆日本版ISAは、上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等に対する税率が10%から20%に引き上げられることに合わせて、2014年1月から導入される。金融庁は、日本版ISAについて、投資可能期間を現行規定の2014年から3年間だけではなく、恒久化することを要望している。一方で、非課税維持期間は、現行規定の10年間から5年間以上に短縮することが想定されている。要望が実現すれば、最大非課税投資総額は現行規定の300万円から500万円以上となる。
◆一方で、金融庁は、経済金融情勢が急変した場合には、10%税率の適用期限を2014年以降も延長することを要望している。延長が実現した場合には、再度、日本版ISAの開始時期も延期されることになろう。
◆また、債券、公社債投信を金融所得課税一体化の対象とし、課税方式を申告分離課税方式に変更することも求めている。金融機関における債券の損益通算に係るシステム対応を考慮し、損益通算の施行は2016年1月が想定されている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
厚労省、雇用促進税制の拡充を要望
2013年度厚生労働省税制改正要望
2012年10月05日
-
経産省、車体課税の大幅減税を要望
2013年度経済産業省税制改正要望(1)
2012年09月26日
-
日本版ISA、2012年に導入
2010年度改正税法成立(3)金融証券税制
2010年04月22日
-
日本版ISA、2012年に導入
2010年度改正税法成立(3)金融証券税制
2010年04月22日
同じカテゴリの最新レポート
-
2012~2024年の家計実質可処分所得の推計
2024年は実質賃金増と定額減税で実質可処分所得が増加
2025年04月11日
-
「103万円の壁」与党修正案の家計とマクロ経済への影響試算(第5版)
所得税の課税最低限を160万円まで引き上げる与党修正案を分析
2025年03月19日
-
平成以降の家計の税・社会保険料負担の推移
『大和総研調査季報』2025年新春号(Vol.57)掲載
2025年01月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日