サマリー
超高齢社会を乗り越え、また、財政の維持可能性を確保するには、それでなくとも増える負担増の幅を抑えるために、社会保障制度を効率化させることが必須である。これまでの日本の社会保障は引退層向けに偏っていた。
今後の超高齢化を見通せば一定の負担増は必要である。ただ、「社会保障・税一体改革成案」は高齢者医療制度や新しい年金制度がどういうものか明らかにしておらず、2010年代後半以降の政策論議はこれからである。
必要な社会保障改革と増税を実施していくためには、中期財政フレームなどのツールをうまく活用すること、増税と景気との関係について事前にルールを設定しておくことなどが必要だろう。
消費税増税には逆進性問題がつきまとうが、そもそも逆進的とはいえない面も強く、また、軽減税率はその効果とコストの面から考えて導入すべきではない。還付方式による軽減にも慎重であるべきである。
消費税増税の影響をシミュレーションした結果からは、税率引き上げは10年代半ばが好機であること、デフレから脱却しないうちは増税を回避すべきこと、10年代後半以降の政策が重要であることが示された。
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