サマリー
◆「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」(2023年5月19日公布)により、被保険者、介護事業者、その他の関係者による被保険者に係る介護情報等の共有・活用を促進することが、介護保険の保険者である市町村の地域支援事業に位置付けられた。その中核を担う仕組みが、全国医療情報プラットフォームに含まれる介護情報基盤である。
◆介護情報基盤とは、介護に関する情報を全国で安全かつ効率的に共有・活用するための仕組みである。介護サービス利用者の情報を関係者間で電子的に共有するため、紙ベースでのやり取りが減り、介護現場の業務効率化につながる。蓄積された情報を活用して事業所間や多職種間の連携を強化するなど、介護サービスの質の向上も期待される。
◆2026年4月1日からの介護情報基盤の全国実施に向け、2025年度末までに全ての市町村が、介護保険事務システムの標準準拠システムへの移行対応(標準化対応)を完了させることが目指されていた。だが、半数以上の自治体が、2025年度末までの標準準拠システムへの移行が難しいと調査で回答したことから、全市町村での基盤の活用開始時期については改めて検討・設定する方針が2025年3月に示されていた。
◆2025年6月末、厚生労働省は、2026年度より準備が整った自治体から介護情報基盤の運用を開始するとし、全市町村での情報共有開始を2028年4月1日からとする新たなスケジュール案を示した。介護情報基盤の全国実施の遅れは、医療と介護の切れ目ない連携を目指す地域包括ケアシステムの推進上も望ましくない。介護事業所のICT環境の整備と併せ、介護情報基盤の早期構築が求められる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
-
iDeCoは広がったのか-加入実態と残る課題
2026年4月加入者数395万人、12月制度改正に注目
2026年06月16日
-
高齢者医療費自己負担への資産勘案に関する主要論点の整理
『大和総研調査季報』2026年春季号(Vol.62)掲載
2026年04月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
-
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
-
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
-
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
-
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日


