サマリー
◆公共施設等の老朽化と人口減少の下、公共施設等の機能確保と財政の持続可能性の両立を図る公共施設マネジメントにおいて、地方公会計情報をいかに活用するかが問われている。本稿では、総務省マニュアルで整理されるマクロ的視点とミクロ的視点のうち、総量抑制や支出平準化を念頭に将来の施設更新必要額の推計を行うマクロ的視点に焦点を当てる。
◆本稿では、「公共施設当たり未償却残高」を施設性能の維持水準を財務的に把握する指標と位置づけ、これを「公共施設当たり住民数」(効率性)と「住民1人当たり未償却残高」(住民負担度)に分解する枠組みを提示する。全国市区町村データによる分析の結果、小規模自治体ほど人口密度の低さにより施設効率が低く、その結果として1人当たりの負担が大きくなる傾向が確認された。また、広域合併は効率性に負の影響を与え、ベッドタウンは正の影響をもたらすことが示された。
◆施設更新計画の検討にあたっては、時間の経過とともに減少する「公共施設当たり未償却残高」の水準を維持することを前提に更新必要額を把握することが重要である。他方で、利用人口に対応した施設規模の適正化を通じた総量抑制を「公共施設当たり住民数」により、担税人口に対応した負担可能水準を「住民1人当たり未償却残高」により把握することで、更新「可能額」の視点から計画を構築する必要がある。トータルコスト縮減の観点では長寿命化修繕やPPP/PFI(公民連携)の活用も有効な選択肢となる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
公共施設マネジメントと公会計
〜機能する行政評価〜『大和総研調査季報』2025年秋季号(Vol.60)掲載
2025年10月24日
-
水道管路の性能劣化の現状とその対策
都市部の経年化よりむしろ低密度・人口減地域の投資財源不足が課題
2025年03月14日
-
持続可能な社会インフラに向けて 水道広域化のスケールメリットの検証と課題
足下のコスト削減よりむしろ技術基盤の強化
2025年04月22日
-
地方銀行と官民連携まちづくりの課題
無担保・無保証・低収益という事業特性を踏まえた「地域金融力強化プラン」の論点整理
2026年03月10日
同じカテゴリの最新レポート
-
最高路線価に読む立地の収益力
大都市圏への集中と、商業拠点から観光拠点への主役交代の兆し
2026年07月23日
-
資金繰り支援から企業価値向上支援へ
地域金融機関に求められる企業支援の在り方
2026年07月21日
-
学校施設の廃止後の課題
廃校施設活用状況実態調査の分析
2026年06月30日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
-
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
-
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
-
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
-
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日

