サマリー
◆人口減少下の学校施設については、適切なダウンサイジングの必要性が指摘されている。足元をみれば、縮減の進度には地域差があり、少子化が進む地域ほど学校数や延床面積の減少が進んでいる。少子化のペースを踏まえればなお一段の縮減が求められるところ、その過程で生じる廃校の後利用が課題のひとつとなっている。本稿では、学校統廃合の出口戦略の観点から、文部科学省「廃校施設活用状況実態調査」のデータを用い、除却を含む廃校のてん末にかかる実態を検証する。
◆「廃校施設活用状況実態調査」の公表値によれば、現存する廃校の74.4%が活用済とされる。ただし、これには統合校や、複数棟のうち1棟のみ利用の事例が含まれる。また、「その他」に区分された用途には暫定利用とみられるものも含まれている。活用状況には地域差が見られた。政令市・特別区では取壊しと転用が並行し、用途別にみると教育・文化系や子育て系の比率が相対的に高い。過疎地域等では小都市・町村を中心に、観光・研修施設等の地域振興系を選択する傾向が見受けられた。
◆未利用の理由にも地域差がうかがえる。未利用が目立つのは主に過疎地域等の中小都市や町村であり、地域からの要望が乏しく再利用の需要を見出しにくいことが最大の理由として挙げられる。これに老朽化や立地条件が重なり、次の用途への移行が難しい現状がある。未利用のまま長期間が経過した廃校も多く、その間も維持コストが発生し続けることを踏まえれば、立地条件面で難しさを抱える廃校については、転用の可否に加え、早期の除却も含めた判断が求められる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
マクロ的視点の公共施設マネジメント
公共施設保有量と未償却残高のバランスに基づく地方公会計の活用
2026年05月26日
-
公共施設マネジメントと公会計
〜機能する行政評価〜『大和総研調査季報』2025年秋季号(Vol.60)掲載
2025年10月24日
同じカテゴリの最新レポート
-
最高路線価に読む立地の収益力
大都市圏への集中と、商業拠点から観光拠点への主役交代の兆し
2026年07月23日
-
資金繰り支援から企業価値向上支援へ
地域金融機関に求められる企業支援の在り方
2026年07月21日
-
マクロ的視点の公共施設マネジメント
公共施設保有量と未償却残高のバランスに基づく地方公会計の活用
2026年05月26日
最新のレポート・コラム
-
中国:消費低迷の深層・非正規雇用の急増
所得格差縮小は非持続的か。社会保障不安とリスキリングの難しさ
2026年08月10日
-
米雇用者数は減少、過去分も大幅に下方修正
2026年7月米雇用統計:失業率は低下も、労働参加率の低下に懸念
2026年08月10日
-
2026年4-6月期GDP(1次速報)予測(改訂版)~前期比年率+2.5%に下方修正
直近公表の基礎統計を踏まえ、個人消費と外需をそれぞれ下方修正
2026年08月10日
-
指名委員会等設置会社の見直しによる企業への影響
機関設計の選択にとどまらないガバナンスの実効性確保が重要
2026年08月10日
-
コーポレート・ガバナンス報告書の更新時期をどう考えるか
2026年08月10日
よく読まれているリサーチレポート
-
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
-
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
-
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
-
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
-
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日

