サマリー
◆2026年分の路線価が7月1日に国税庁から公表された。都道府県庁所在都市の最高路線価は44都市で上昇し、下落した都市は皆無となった。税務署管轄地域別の上昇率上位には、白馬・野沢温泉・富良野などスキーリゾートをはじめとする観光地に加え、浅草・北千住・中野・赤羽・錦糸町といった都心周縁の再開発拠点が並ぶ。集客力に富む観光地と、交通利便性に優れた都心周縁の拠点が、地価形成の前面に立っている。
◆税務署単位の集計を396の都市圏に再構成したうえで対前年変動率の中央値を追うと、2003年の下落率10.7%を底に下げ幅は縮小し2016年にゼロとなった。以降10年をみると、4大都市圏に属する圏域は都市規模を問わず総じて上昇、地方圏でも政令指定都市はすべて上昇した。他方、地方圏の中都市では約6割、小都市・町村では7割強で下落しており、地方圏で上昇が目立つケースはその多くが観光拠点である。平均値でみればこの10年間は上昇傾向をたどっているが、上昇地点は大都市に偏っており、その他は下げ止まったとはいえ水準は低いままである。県庁所在都市でも17都市は50年前をも下回る。
◆地方に目を向ければ、最高路線価を押し上げる主要因は、商業拠点から観光拠点へと静かに交代しつつある。直近では長野県軽井沢町の最高路線価が県都・長野市を上回り、伊勢市では最高路線価地点が駅前から伊勢神宮内宮の門前へ移った。石垣島、宮古島の中心街は、東北の県都・秋田や青森を超えている。後背圏を抱えながらも観光地に追い越されつつある地方都市の現状から、これまで立地の収益力の土台となった店舗商業が岐路に立っていることがうかがえる。最高路線価の現況を踏まえれば、地方都市のまちづくりの検討にあたっては、観光振興はもとより、都市景観や利便性を備えた住まう街としての魅力を高めることが課題となる。
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