サマリー
インフラ老朽化が深刻化する中、全国の地方自治体で公共施設マネジメントが推進されている。将来の人口減少を踏まえ、財政負担の軽減を念頭に施設の統廃合や長寿命化が講じられているものの、総量抑制は進まず、公共施設の延床面積はこの10年間ほぼ横ばいで推移している。
こうした状況下、公会計情報の活用が推進されているが、法定耐用期間の満了を控える個々の施設のその後の方針決定にかかる活用は限定的である。また、公民連携の進展により収支情報が公と民に分離し、方針決定に先立つ連携効果の評価が困難となる課題も生じている。
公会計活用の実効性を高めるには、行政評価と一体化した意思決定プロセスに公会計情報を組み込み、予算や定員と連動した評価体系を構築することが重要である。公民連携の進展を踏まえつつ、具体的な課題として、①行政評価と公会計の連動、②組織・事業別セグメント体系の整備、③総務費を含むフルコスト把握、④公民合算収支の導入、⑤関連当事者取引の開示、⑥検証可能な財務諸表の提出、の6点を挙げる。

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