サマリー
◆社会インフラの基盤強化に向けた抜本的な改革の1つして、複数の市町村が区域を越え、連携または一体的に事業に取り組む水道広域化が推進されている。他方、給水原価や料金水準の地域格差等の課題もあり、大きな動きとなっていないのが現状だ。課題を踏まえ、さらなる推進の観点から水道広域化の「スケールメリット」について整理する。
◆広域化効果のスケールメリットを規模拡大に伴う平均コストの逓減と捉えた場合、これが期待できるのは主に給水人口規模にして5万人未満の小規模水道である。技術職員は規模に応じて逓増することから、スケールメリットは足下のコストよりむしろ技術水準に見出せる。事例からは、旧構成団体の技術水準の最高に全体が揃えられること、組織の大規模化に伴って専門分化すること、長期・継続的な人材育成が可能になること等による技術基盤の強化がうかがわれ、その成果が有収率(浄水場の出口で測定される年間送配水量に対する、末端の水道メーターで測定される有収水量の比率)の向上に表れている。
◆広域化で生じた余剰能力の廃止で得られるメリットもある。小規模事業体は平時に比べたピーク時需要が大きく、高めの配水能力を設定せざるをえない。管路網を連結しピークの平準化を図ることで配水能力の縮減が可能になる。目に見える効果として、不安定水源や老朽施設の廃止によるシステム全体の品質向上が挙げられる。また、広域化せず単独経営を続けた場合にかかる追加的な更新投資が広域化に伴う「コスト削減」とされる。現有施設はサンクコストであるため余剰能力の廃止がコスト削減に直結するわけではない。将来予測を通じて計算されるコスト削減である。
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