サマリー
◆2014年5月12日、政府税制調査会は基礎問題小委員会を設置し、法人税減税と関連する他税目にまたがる税制の課題について検討を開始した。その中で、株式譲渡所得や配当等に関する課税強化案が議論された。
◆株式への課税強化は、投資家の税引後の配当等の減少を通じて、株価形成に悪影響を与える。例えば、個人段階の所得税率が20%から25%に引き上げられる等とすると、配当割引モデルで算出した理論株価では、8.5%下落する可能性がある。
◆今後、政府税制調査会で法人課税等について議論し、改革の方向性をとりまとめるものとされている。その際には、株式の配当・譲渡益への課税強化には慎重な対応が望まれる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
法人の受取配当課税強化の問題点
受取配当等の益金不算入制度の縮減は株価下押し要因となりうる
2014年12月03日
-
金融庁、金融所得課税一体化を要望
平成27年度税制改正要望②~金融庁(NISA関連以外)
2014年10月23日
-
上場株式の相続税評価額に関する試算
納税者不利としないためには、時価の70%を評価額とすべき
2014年03月18日
-
法人税率引き下げと代替財源の議論(1)
課税ベース拡大編—受取配当益金不算入、繰越控除の縮小も視野に
2014年03月26日
-
政府税調委員の株式課税強化提案の問題点
法人課税引下げの代替財源として配当・譲渡益の課税を強化
2014年03月13日
同じカテゴリの最新レポート
-
金融庁、NISAのこども支援措置・投資商品入替措置などを要望
令和8年度税制改正要望—NISAの全世代化に向けた取組みが続く
2025年09月11日
-
道府県民税利子割への清算制度導入を提言
令和8年度税制改正での実現は不透明な情勢
2025年08月13日
-
2012~2024年の家計実質可処分所得の推計
2024年は実質賃金増と定額減税で実質可処分所得が増加
2025年04月11日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日