法人の受取配当課税強化の問題点

受取配当等の益金不算入制度の縮減は株価下押し要因となりうる

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2014年12月03日

サマリー

◆2014年11月18日、安倍首相は消費税率の10%への引上げを、2017年4月まで先送りする方針を示すと共に、これについて国民に信を問うため、衆議院を解散し総選挙を行うことを表明した。21日に衆議院は解散した。


◆平成27年度(2015年度)税制改正の議論は、実質的に開始していたが、これにより、平成27年度税制改正大綱の公表は2015年1月にずれ込む見通しになった。


◆平成27年度税制改正の主要な項目としては法人実効税率の引下げが挙げられている。引下げのための代替財源として、法人の受取配当益金不算入制度の縮減が候補に挙がっている。


◆消費税率引上げ先送りにより、2015年度及び2016年度のわが国の財政状態は一層厳しくなることから、法人の受取配当益金不算入制度については、厳しい改正内容となることが予想される。


◆法人の受取配当益金不算入制度の縮減は、税引後の配当等の減少を通じて、株価形成に悪影響を与えうる。仮に、持株比率5%未満の法人からの配当について益金不算入0%(即ち全額益金算入)とする等の縮減措置が実施されると、配当割引モデルで算出した理論株価は、5%前後の引き下げ要因となる。これは2015年度に想定されている法人実効税率の2%幅の引き下げによる理論株価の引き上げ要因(3%強)を打ち消してしまう。


◆法人の受取配当益金不算入制度の縮減については、慎重な対応が望まれる。

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