サマリー
◆上場株式や株式投資信託の相続時の評価額は、原則として時価により評価される。しかしながら、実際には相続時から相続税の納付期限までの10ヵ月間で株価は大きく変動するケースもある。本稿では、過去30年間の日次の株価指数を用いて検証した。
◆相続発生日の株価と相続税納付期限日の株価を比較すると、46%程度の確率で相続発生日よりも相続税納付期限日の株価の方が低くなり、4%程度の確率で相続発生日よりも相続税納付期限日の株価が30%以上低くなった。
◆上場株式の相続税評価額は、当日・当月平均・前月平均・前々月平均の株価のうち最も低い額を用いることとなっているが、これを考慮しても、なお40%程度の確率で相続税評価額よりも相続税納付期限日の株価の方が低くなり、3%強の確率で相続税評価額よりも相続税納付期限日の株価が30%以上低くなった。
◆相続発生日から相続税納付期限日までの間に30%程度価格が変動することが一定程度あることを考えれば、換金可能となる時までの価格変動を考慮して、時価の70%を評価額とすることを検討してもよいのではないだろうか。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
あるべき上場株式等の相続評価に向けて
金融庁、上場株式等の相続税評価の見直しを要望
2016年10月20日
-
株式課税強化提案の問題点
配当・譲渡益課税強化は株価下押し要因となりうる
2014年05月20日
-
法人税率引き下げと代替財源の議論(1)
課税ベース拡大編—受取配当益金不算入、繰越控除の縮小も視野に
2014年03月26日
-
株式投資の実効税率の現状とあるべき姿
損益発生時の課税の非対称性の対処について
2010年11月02日
-
政府税調委員の株式課税強化提案の問題点
法人課税引下げの代替財源として配当・譲渡益の課税を強化
2014年03月13日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
第222回日本経済予測(改訂版)
不安定化する外部環境の下で日本経済の成長は続くか①米国景気・円高、②金利上昇リスク、③少子化対策、を検証
2024年09月09日
-
外貨建国内債の発行円滑化を念頭に外国口座管理機関の見直し(案)
外国口座管理機関の外貨DVP決済プラットフォームの活用を期待
2024年09月09日
-
2024年4-6月期GDP(2次速報)
設備投資や個人消費などの下方修正で成長率のプラス幅が縮小
2024年09月09日
-
非農業部門雇用者数は前月差+14.2万人
2024年8月米雇用統計:楽観視はできないが、足元は緩やかな雇用環境の悪化に留まる
2024年09月09日
-
在職老齢年金について考える
2024年09月09日
よく読まれているリサーチレポート
-
米金融政策を占うジャクソンホール会議の注目点は?
市場が期待するほどの大幅な利下げの示唆は期待しにくい
2024年08月16日
-
ハリス氏はトランプ氏に勝てるのか?そして、米国経済の行方は?
トランプ氏の優勢は継続、トランプ・リスクの発現は議会選挙とトランプ氏の匙加減次第
2024年08月02日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「国債買入減額」と「追加利上げ」が長期金利と経済活動に与える影響は限定的か
2024年7月金融政策決定会合で日銀は金融緩和の縮小姿勢を明確化
2024年07月31日
-
「適温」なドル円相場は130円台?
ただし10円の円高で実質GDPは0.2%悪化
2024年08月14日
米金融政策を占うジャクソンホール会議の注目点は?
市場が期待するほどの大幅な利下げの示唆は期待しにくい
2024年08月16日
ハリス氏はトランプ氏に勝てるのか?そして、米国経済の行方は?
トランプ氏の優勢は継続、トランプ・リスクの発現は議会選挙とトランプ氏の匙加減次第
2024年08月02日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「国債買入減額」と「追加利上げ」が長期金利と経済活動に与える影響は限定的か
2024年7月金融政策決定会合で日銀は金融緩和の縮小姿勢を明確化
2024年07月31日
「適温」なドル円相場は130円台?
ただし10円の円高で実質GDPは0.2%悪化
2024年08月14日