2025年5月貿易統計

輸出数量は横ばい圏を維持も、円高効果等で輸出額は8カ月ぶりに減少

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2025年06月18日

サマリー

◆2025年5月の貿易統計によると、輸出金額は前年比▲1.7%と8カ月ぶりに減少した。一方、季節調整値では、前月比+0.1%と小幅に増加した。輸入金額は前年比▲7.7%と2カ月連続で減少した、季節調整値も前月比▲0.3%と2カ月連続で減少した。貿易収支は▲6,376億円と2カ月連続の赤字、季節調整値では▲3,055億円と3カ月連続の赤字となった。

◆米国向けの自動車の部分品は金額ベース(前年比▲19.0%)に加え、数量ベース(同▲11.9%)でも大幅に減少した。一方、完成車では輸出金額が同▲24.7%と大幅に減少したものの、輸出数量は同▲3.9%と比較的小幅な減少にとどまった。これは、米国の関税政策(トランプ関税)への対応として、輸出価格を引き下げて輸出数量への影響を抑える日系メーカーの動きを反映したものとみられる。

◆2025年5月の輸出数量は前月比▲0.1%と3カ月連続で減少した。ただし、振れを均せば横ばい圏で推移している。品目別では、乗用車や医薬品の輸出が好調だった一方、アジア向けを中心に鉄鋼や集積回路(IC)、プラスチックなどの中間財の輸出が弱含んだ。地域別では、EU向けは増加した一方、米国向けやアジア向けの減少が指数全体を押し下げた。アジア向けのうち中国向けも減少した。

◆先行きの輸出数量は横ばい圏で推移するとみているが、不確実性は引き続き高い。現時点で主要輸出先における実体経済の大幅な悪化は確認できないが、トランプ関税や、その動向を巡る不確実性を背景に各国・地域で設備投資や個人消費が腰折れすれば、日本の輸出にも逆風となる。また、中東情勢の悪化により資源価格が高騰し、各国・地域の景気を下押しするリスクにも留意が必要だ。

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