サマリー
◆2024年11月の全国コアCPI(除く生鮮食品)は前年比+2.7%と、伸び率が3カ月ぶりに拡大した。政府の「酷暑乗り切り緊急支援」における電気・ガス代の補助額が10月使用分(11月請求分)から縮小され、エネルギー価格の上昇が物価を押し上げた。全国新コアコアCPI(除く生鮮食品、エネルギー)は同+2.4%と、前月から伸び率が拡大した。
◆2024年11月のコアCPIの前年比の動きを財・サービス別に見ると、半耐久消費財と非耐久消費財(除く生鮮食品、エネルギー)、エネルギーは前月から伸び率が拡大した。他方、耐久消費財は前月から伸び率が縮小した。サービスの伸び率は前月から横ばいだった。
◆先行きの新コアコアCPIは、2024年度、25年度ともに前年比+2%程度の見込みだ。物価上昇の主因は中間投入コストの増加から人件費の増加へとすでに転換している。人手不足の深刻化という構造的な課題が背景にあることから、企業による賃上げの動きは続く見込みだ。それに伴う人件費の増加を販売価格に転嫁する動きも継続するだろう。2025年度には賃金と物価の循環的な上昇が定着するとみている。
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