サマリー
◆円安が大幅に進む局面において、企業は販売価格をより積極的に引き上げる傾向があり、インフレ率は非線形的に高まる可能性がある。こうした企業行動を考慮したモデルで推計すると、先行きのドル円レートが160円超で推移する場合、インフレ率の上振れリスクが急速に高まる。
◆物価の上振れリスクが高まる場合、実体経済に強さが見られない中で日本銀行(日銀)が短期金利を引き上げれば、賃金・物価の循環的な上昇の芽を摘みかねない。この点、長期金利は短期金利に比べて為替レートへの影響が大きく、実体経済への影響は小さい。日銀は国債購入ペースの柔軟化または購入額の減額によって長期金利を上昇させることで、景気への悪影響を抑えつつ、インフレ率の上振れリスクに対応することができるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年7-9月期法人企業統計と2次QE予測
AI関連需要の高まりで大幅増益/2次QEでGDPは小幅の下方修正へ
2025年12月01日
-
高市政権における実質賃金上昇の鍵は?
政策・改革の推進で40年度までの実質賃金は年率1.2~1.6%程度に
2025年12月01日
-
2025年10月雇用統計
雇用環境の改善が進み、就業者数は過去最高を更新
2025年11月28日

