サマリー
◆2024年11月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+3.8%と2カ月連続で増加した。税関長公示レートが前年比で円安ドル高に転じ、輸出価格が押し上げられたことが主因だ。輸出金額の季節調整値は前月比+0.2%と2カ月ぶりに増加した。輸入金額は前年比▲3.8%と8カ月ぶりに減少したが、季節調整値では前月比+1.9%と4カ月ぶりに増加した。貿易収支は▲1,176億円と5カ月連続の赤字となり、季節調整値では▲3,842億円と42カ月連続の赤字となった。
◆11月の輸出数量は前月比▲2.8%と2カ月連続で減少した。米国や欧州向けの自動車輸出の減少が全体を押し下げた。供給制約の緩和による自動車の挽回輸出が一巡しつつあるとみられる。輸出数量全体を地域別に見ると、米国向け(同▲8.2%)、EU向け(同▲7.3%)、アジア向け(同▲0.6%)のいずれも減少した。
◆先行きの輸出数量は均して見れば横ばい圏で推移するとみている。目先では自動車の供給制約の緩和を受けた挽回輸出やシリコンサイクル(世界半導体市場に見られる循環)の回復を背景とした半導体関連財の輸出が期待できる一方、米国における緩やかな景気減速を主因に輸出全体は伸び悩む見込みだ。なお、米トランプ次期大統領が掲げる追加関税措置が仮に実現すれば、世界的に貿易や景気が停滞して外需が縮小するリスクがある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
「トランプ関税2.0」による日本経済への影響試算
中間財の出荷減や米国等の景気悪化で日本の実質GDPは最大▲1.4%
2024年12月18日
-
中国:25年はトランプ再登板で内需拡大を最重視
「さらに強化した」積極的財政政策と「適度に緩和的」な金融政策
2024年12月13日
-
2024年10月貿易統計
半導体等製造装置が好調で輸出金額は前年比プラスに復調
2024年11月20日
同じカテゴリの最新レポート
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
2025年12月日銀短観予想
輸出不振や原材料高で製造業の業況判断DI(最近)は悪化を見込む
2025年12月10日
-
2025年7-9月期GDP(2次速報)
設備投資などが減少し、実質GDPは前期比年率▲2.3%に下方修正
2025年12月08日
最新のレポート・コラム
-
中国:来年も消費拡大を最優先だが前途多難
さらに強化した積極的な財政政策・適度に緩和的な金融政策を継続
2025年12月12日
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
FOMC 3会合連続で0.25%の利下げを決定
2026年は合計0.25%ptの利下げ予想も、不確定要素は多い
2025年12月11日
-
大和のクリプトナビ No.5 2025年10月以降のビットコイン急落の背景
ピークから最大35%下落。相場を支えた主体の買い鈍化等が背景か
2025年12月10日
-
12月金融政策決定会合の注目点
2025年12月12日
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

