サマリー
◆2024年12月11日~12日に、2025年の経済政策運営の重点を決定する中央経済工作会議が開催され、9項目の重点を掲げた。2025年の重点の筆頭は「内需拡大」となった。中国共産党・政府にしてみれば、思い通りにはならないであろうトランプ・リスクをある程度所与のものとして、内需拡大を最重視する以外に、選択肢はなかったのだと思われる。
◆2025年は「さらに強化した」積極的財政政策と「適度に緩和的な」金融政策が実施されることが決まった。財政政策では、財政赤字のGDP比の引き上げ、超長期特別国債と地方政府特別債券の増額が既にアナウンスされており、2025年の中国経済を下支えすると期待できる。金融政策は従来の「穏健(中立)」から15年ぶりに「適度な緩和」に転換される。筆者が懸念しているのは、住宅ローン金利と住宅価格のさらなる低下が想定される場合、住宅購入者が様子見を強めることだ。金融政策の予見可能性を高めたことが却って仇とならないか、との心配である。
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