サマリー
◆トランプ次期米国大統領は、2024年11月25日に中国・メキシコ・カナダ(以下、3カ国)に対する追加関税措置をSNS上で発表した。中国からの全輸入品に対して10%の追加関税を、メキシコとカナダからの全輸入品に対して25%の関税を課すという内容だ(以下、「トランプ関税2.0」)。
◆トランプ関税2.0の実施により、3カ国や米国に対して中間財を出荷する日本企業やその取引先が影響を受ける見込みだ。この経路による日本の実質GDPへの影響は▲0.1%程度と試算される。影響は小さいようにみえるが、自動車や一次金属など一部のセクターに集中することには注意が必要だ。なお、米中貿易摩擦では日本の輸出シェアが低下し、東南アジア諸国などの輸出シェアが拡大した。トランプ関税2.0で日本が代替調達先として選ばれることへの過度な期待は禁物だ。
◆関税措置を実施した国々では、関税による輸入物価の上昇を起点として経済活動が悪化するという「ブーメラン効果」の発現も想定され、日本からの各国への輸出や国内生産が減少するとみられる。こうした経路を含めた日本の実質GDPへの総合的な影響は、最大で▲1.4%程度に拡大すると試算される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
-
2025年6月全国消費者物価
政策要因でコアCPIの伸び率縮小も、物価の上昇基調は引き続き強い
2025年07月18日
-
2025年6月貿易統計
円高の進行やトランプ関税の影響で輸出金額は2カ月連続の減少
2025年07月17日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日