サマリー
◆2023年10月の生産指数は前月比+1.0%と2カ月連続で上昇した。均して見れば年央から横ばいで推移しており、経済産業省は基調判断を「一進一退」に据え置いた。内訳を見ると、電子部品・デバイス工業の生産指数は1年ぶりの高水準となった。主因はIC(集積回路)の大幅増産であり、シリコンサイクル(世界半導体市場に見られる循環)の回復を示唆する内容であった。
◆先行きの生産指数は横ばい圏での推移が継続するとみている。低調な資本財生産を自動車の挽回生産が補うという構図が続くだろう。資本財関連業種では在庫調整に時間がかかるとみられ、当面は生産水準が低調となる見込みだ。他方、自動車については国内向けを中心に挽回生産が進む余地が大きく、引き続き生産指数を下支えするだろう。
◆12月7日に公表予定の10月分の景気動向指数は先行CIが前月差▲1.3ptの107.6、一致CIが同+0.1ptの114.8と予想する。予測値に基づくと、10月の基調判断は機械的に「改善」に据え置かれる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2023年9月鉱工業生産
資本財関連業種の不調により生産指数は予想を大きく下回る
2023年10月31日
-
2023年8月鉱工業生産
自動車工場の稼働停止などを受け生産指数は前月から横ばい
2023年09月29日
-
2023年7月鉱工業生産
半導体製造装置の大幅減産で生産指数は前月比マイナスに転じる
2023年08月31日
同じカテゴリの最新レポート
-
AI時代の日本の人的資本形成(個人編)
AI時代を生き抜くキャリア自律に向けた戦略
2025年05月22日
-
2025年3月機械受注
民需(船電除く)は事前予想に反して2カ月連続で増加
2025年05月22日
-
2025年4月貿易統計
輸出金額は7カ月連続の増加も、先行きの不透明感は継続
2025年05月21日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日