サマリー
2000年代半ば頃まで、先進国では市場メカニズムが重視され、産業政策は抑制されていた。しかし、近年は経済安全保障リスクや気候変動、技術覇権などへの対応から、産業政策が再評価されつつある。ロビイングの弊害や不要な財政支出などのリスクがあるものの、外部性の大きい無形資産は過少投資に陥りやすいため、産業政策による無形資産投資は正当化され得る。政府による知的財産生産物への投資が民間のそれを誘発することも示唆される。
高市早苗政権の掲げる産業政策は包括的であり、無形資産投資にも着目しているとみられる。ただし、17の戦略分野をOECDの産業政策分類(企業内型・企業間型)と投資対象(有形資産・無形資産)の2つの評価軸で整理したところ、分野間で差が見られた。AIやデジタル・サイバーセキュリティ、量子など、波及効果の高い分野に重点を置きつつ、防衛産業など政府の関与が特に必要な分野に対象を絞った組み合わせが求められる。
また、8つの分野横断的課題はいずれも無形資産投資の性格が強く、産業全体への波及効果も高い。労働市場改革やスタートアップ支援などは、過去の政権から改革が続いている分野でもあり、政府は引き続き注力すべきだ。

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