米国経済見通し 中東政策は8月にTACOか

中東情勢悪化が影を落とす中、政治日程が中東政策転換の鍵を握る

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2026年07月28日

  • 経済調査部 主任研究員 矢作 大祐
  • ニューヨークリサーチセンター 研究員(NY駐在) 藤原 翼

サマリー

◆2026年4-6月期の米国経済は、個人消費と設備投資という内需の二本柱に支えられ、実質GDP成長率は前期比年率2%程度の巡航速度を維持したと予想する。所得階層間の消費格差、いわゆる「K字経済」の構図は残存するものの、株高による資産効果とトランプ減税2.0の還付金を背景に所得上位層の消費が底堅く推移し、全体を下支えしたと考えられる。また、設備投資もAI関連投資が引き続き牽引役になったとみられる。

◆しかし、7月に入り、状況は一変している。米イラン間の武力衝突再燃により停戦合意が破綻し、エネルギー価格も再上昇した。インフレ再加速によって実質賃金は再びマイナスに転じる可能性が高まり、個人消費の下振れリスクが強まっている。設備投資についても、ハイパースケーラー各社がAI投資の選別姿勢を強め、SOX指数の調整局面入りが示唆するように、4-6月期までのような拡張一辺倒は見込みにくい。

◆一方、8月の議会休会に伴うタウンホールミーティングを控え、エネルギー高に対する世論の不満は根強い。世論調査では、対イラン強硬派(MAGA派)の中でも「戦争は経済的代償に見合う」との回答が5月の約半数から7月には1/3強へ低下しており、イランに対する強硬姿勢を維持する必要性が低下している。中間選挙を控える中で、共和党の求心力維持のため、2025年の関税政策と同様、トランプ政権が中東政策を軟化させる、いわゆる“TACO化”のインセンティブが強まっているとみられる。

◆金融政策に関しては、7月FOMCは政策金利据え置き・様子見がメインシナリオとなる。ただし、イラン側が停戦を交渉材料として長期化させ、再停戦が9月以降にずれ込む場合、インフレ率の減速シナリオが崩れ、早ければ9月、遅くとも10月FOMCでの利上げ転換が視野に入る。市場は既に9月の利上げを織り込んでおり、7月のFOMCが様子見であっても、タカ派的な姿勢は強まり得る。また、8月中も中東情勢に改善が見込まれなければ、8月末に開催されるジャクソンホール会議で、FOMC執行部から9月FOMCでの利上げ転換に向けたより強いメッセージが出される可能性もあるだろう。

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