サマリー
◆女性の正規雇用率は20代後半がピークであり、仕事と家庭の両立の難しさから、中高齢で低くなる「L字カーブ」を描く。L字カーブは女性のキャリア形成に影響を及ぼし、男女間の賃金格差をもたらしている。子育て期の女性が正規雇用で就業継続できるようになることでL字カーブが解消に向かえば、女性の賃金は今後20年間で61兆円増加すると試算される。
◆L字カーブ解消に向けた課題の1つとして、男性の働き方改革を通じて女性に偏る家事・育児の負担を軽減する必要がある。男性の家事・育児時間増加に伴う有償労働時間の削減は短期的にはマクロで見た賃金を押し下げるものの、長期的には女性の賃金増加によって差し引きでプラスに転じる。
◆個票分析によると、1カ月以上の育休取得は男性の家事・育児の時間を週4時間程度増加させる効果を持つ。政府は男性の育休取得を促すため、育休給付額を引き上げる方針だ。その際に、両親学級の受講を給付増額の条件とするなど、男性の意識改革を促す工夫を行うとよいだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
第217回日本経済予測
安定性を増す内需と下振れリスクが高まる外需①少子化対策、②「L字カーブ」、③米銀行不安、を検証
2023年05月23日
-
日本経済見通し:2023年5月
経済見通しを改訂/「好材料」の増加で安定性を増す日本経済
2023年05月24日
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年4月貿易統計
輸出金額は7カ月連続の増加も、先行きの不透明感は継続
2025年05月21日
-
経済指標の要点(4/16~5/19発表統計分)
2025年05月19日
-
2025年1-3月期GDP(1次速報)
民需は増加するも、純輸出の減少などで4四半期ぶりのマイナス成長
2025年05月16日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日