サマリー
◆女性の正規雇用率は20代後半がピークであり、仕事と家庭の両立の難しさから、中高齢で低くなる「L字カーブ」を描く。L字カーブは女性のキャリア形成に影響を及ぼし、男女間の賃金格差をもたらしている。子育て期の女性が正規雇用で就業継続できるようになることでL字カーブが解消に向かえば、女性の賃金は今後20年間で61兆円増加すると試算される。
◆L字カーブ解消に向けた課題の1つとして、男性の働き方改革を通じて女性に偏る家事・育児の負担を軽減する必要がある。男性の家事・育児時間増加に伴う有償労働時間の削減は短期的にはマクロで見た賃金を押し下げるものの、長期的には女性の賃金増加によって差し引きでプラスに転じる。
◆個票分析によると、1カ月以上の育休取得は男性の家事・育児の時間を週4時間程度増加させる効果を持つ。政府は男性の育休取得を促すため、育休給付額を引き上げる方針だ。その際に、両親学級の受講を給付増額の条件とするなど、男性の意識改革を促す工夫を行うとよいだろう。
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