サマリー
7月上旬に開催されたG20ハンブルク・サミットでは、首脳宣言に「保護主義と引き続き戦う」という文言が盛り込まれたが、このこと自体が、保護主義の台頭に対する懸念が(一部の国を除き)共有されていることを物語っている。一方、オランダ経済政策分析局のデータによれば、実際のところ2017年に入って世界貿易は回復傾向にあり、幸いにも保護主義が「スロー・トレード」を長期化、ないしは深刻化させるというシナリオの妥当性は低下しつつある。米国の内政に目を転じれば、懸案のオバマケアの代替法案は再び頓挫した。上下院と大統領が共和党で一本化されたことが、政策運営上必ずしも有利ではないことが明らかになりつつある。昨年11月の米大統領選挙以降、世界経済はトランプ政策次第とみなされることが多かったが、トランプ氏の政策執行能力の貧弱さが露呈されるにつれ、世界経済の「トランプ離れ」が着実に進みつつあるとみてよさそうだ。ユーロ圏経済の堅調に加え、上述の世界貿易統計は、新興アジア地域の内需の持ち直しを示唆している。米国発の加速が見込みにくくなったことは確かだが、緩やかな世界経済の拡大を阻害する懸念材料も減っている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
中国:4月~6月は高水準の成長率を維持
リード役は消費。2017年は6.8%程度の実質成長へ
2017年07月20日
-
欧州経済見通し 強気のユーロ圏、弱気の英国
英国がBrexitで得る成果とは何か
2017年07月21日
-
米国経済見通し 正常化が進む金融政策
一方、議論が進まぬ政治・財政
2017年07月20日
-
日本経済見通し:2017年7月
人手不足の恩恵と「しわ寄せ」はどこに? / 設備投資の「不都合な真実」
2017年07月20日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
-
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
-
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
-
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
-
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日