サマリー
◆国家統計局によると、2017年4月~6月の実質GDP成長率は前年同期比6.9%(以下、変化率は断わりのない限り、前年比、前年同期比、前年同月比)であった。1月~3月の6.9%成長に続き、4月~6月も高水準の成長率を維持した。
◆リード役は消費である。小売売上は2017年1月~3月の10.0%増から4月~6月は10.8%増に伸び率を高め、足元で消費は加速している。鉄鋼・石炭など川上産業から始まった企業業績の回復もあり、国民一人当たり可処分所得は2016年の8.4%増から2017年1月~3月は8.5%増、4月~6月は9.1%増となった。さらに、雇用の改善が消費センチメントを大きく改善させていることもある。
◆固定資産投資は2016年の8.1%増から2017年1月~3月は9.2%増に加速したが、1月~6月には8.6%増に減速した。今後は、引き締め気味の金融政策の影響が、不動産開発投資やインフラ投資などでより強く出てくることで、固定資産投資は緩やかな減速が続く可能性が高い。
◆輸出入は2016年の前年割れから大きく改善している。人民元建て輸出入の増減率を価格と数量に分けて見ると、2017年以降は原油価格上昇を背景とした「価格」のみならず、「数量」がコンスタントに増加するようになったことが特徴的である。輸出数量の増加は米国を中心とした主要先進国の景気拡大がその背景であり、輸入数量の増加は消費を牽引役とした内需の堅調が寄与していよう。
◆今後の中国経済は、インフラ投資と不動産開発投資の減速による固定資産投資の鈍化が想定されるが、消費が景気を下支えすることで、減速をしても緩やかなものにとどまろう。年前半の景気が想定以上に強かったことを踏まえ、2017年の実質GDP成長率の見通しを6.8%(従来は6.6%)に上方修正する。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:力不足、あるいは迷走する政策と景気減速
依然不透明なトランプ関税2.0の行方
2025年08月22日
-
中国:年後半減速も2025年は5%前後を達成へ
不動産不況、需要先食い、トランプ関税2.0の行方
2025年07月22日
-
中国:内巻(破滅的競争)と上乗せ関税の行方
追加関税大幅引き下げでも製造業PMIは50割れが続く
2025年06月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
-
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
-
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
-
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日